ぼっちだったから夏休みはホームレスと飯食ってた


244:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 16:42:23.55 ID:nSYIyr/J0
分かるよ

245:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 16:43:06.92 ID:flZ1wfTAO
おっさんは明らかに嫌そうな顔をした

おっさん「あれめっちゃ怖そうやん…」

俺「なんで?楽しそうやん!空飛んでるみたいやん!」

おっさん「お前なぁ、あの紐取れてほんまに飛んで行ったらどないすんねん」

俺「え…?あれ取れるん?」

おっさん「紐つけてんやったら紐取れることだってあるやろ」

俺「ほんならおっさん一回乗って確認してきてや」

おっさん「しばくぞボケ」

俺は嫌がるおっさんの手を引いて何とか乗ることに成功した
一人乗り用だったので乗ってる最中におっさんがどんな顔してたかはわからないけど
終わって飛行機が停止しても
しばらくおっさんは座ったまま口半開き状態だった

246:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 16:51:48.78 ID:flZ1wfTAO
そんなおっさんを引きずり俺は止まることなく遊びまくった

メリーゴーランドはとにかく派手で本に出てくるお菓子の家みたいな印象だった
お化け屋敷はおっさんと手を繋ぎながら入った
めちゃくちゃ怖かったけど俺の手を引くおっさんの歩くスピードも
なかなか怖かった記憶がある
小さな線路を走る汽車にも乗ったし
水上をペダル漕ぎながら進むのも楽しかった

そうこうしてるうちに腹が減ったので
近くにあったベンチで弁当を食うことにした

248:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 16:54:30.40 ID:dpJ3476W0
こういう話はやっぱおっさんが似合うな

近所のお兄さんお姉さんおばさんだとこうは似合わない

おっさんが持つ不思議な魅力だな

249:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 16:55:26.01 ID:S8QykrVnO
いくらバイトをしたとはいえオッサンの財布が心配になるな

250:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 17:04:52.76 ID:xo/g0KEQ0
既に切なさ全開だわ

251:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 17:04:58.25 ID:flZ1wfTAO
おっさんは俺が弁当を持ってきたことを言うと
ちょっとびっくりしてた

おっさん「こんな時にまで作ってきたんか」

俺「こんな時やからやん。遠足に弁当持ってこん奴なんかおらんで」

おっさん「まぁせやけど…今日くらい外でなんか食わしたったのによ」

俺「ホームレスのくせにお金あるん?」

おっさん「アホ、ホームレスは家は無いけど金は意外と持ってたりするもんやねん」

俺「へーそうやったんや。じゃあおっさんの分も俺食うわ」

おっさん「いやいやいや!食いますやんか兄さん!」

おっさんは相変わらずのノリで弁当食ってたけど
俺はホームレスのおっさんに
遊園地に連れて来てくれる金があるとは思えなかった
チケットを買う時ですら子供ながらにヒヤヒヤしていたぐらいだ
だからおっさんの発言を聞いて俺は内心ホッとした

(そうか…ホームレスもお金持ってるんやなぁ…)

もちろんバイトで稼いでたのは言うまでもなかった

253: 忍法帖【Lv=5,xxxP】 【11.6m】 :2011/09/01(木) 17:09:38.39 ID:21CDImSg0
ふむ

254:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 17:15:28.51 ID:flZ1wfTAO
飯を食い終わってから広場に行ってヌイグルミが踊るショーを見たり
また飛行機に乗っておっさんが白目剥いたりして
とにかくこれでもかと言うくらい遊びまくった

そして時間的に次が最後だと言われると
俺は迷いなく観覧車を指差した

またお決まりなカンジだけど
来た当初にあれは最後に乗るものだとおっさんに言われていたのだ
理由は今でもよくわからん

俺はおっさんと向かい合わせに座ったが
観覧車が動き出すとあまりの高さにびびってしまい
外の風景を見れなくなってしまった



255:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 17:16:37.56 ID:tQ5P0e+K0
真のぼっちは家から出ないだろ
俺なんか7月以降出てない

258:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 17:24:47.25 ID:flZ1wfTAO
観覧車が頂上近くまで来る頃には俺もうおっさんの顔すら見れず、
ずっと自分の足元ばかり見ていた
飛行機やお化け屋敷なんか比じゃないくらい怖かった

するとおっさんは俺に言った

おっさん「何してんねん。めっちゃええ景色やのに早よ見んかい」
俺「おっさんおかしいんちゃうか…こんなん怖すぎるやろ」

おっさん「あははははっ!こんモン怖いことあるかい!」

爆笑しながらおっさんは丸くなった俺の背中をバシバシ叩いた

俺は飛行機での復讐だと涙目になった

259: 忍法帖【Lv=26,xxxPT】 :2011/09/01(木) 17:24:49.19 ID:TInI4rAd0
もう泣きそうだ

260:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 17:26:26.06 ID:8KnzTTIiO
おっさんの気持ちが気になるな。

267:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 17:34:31.48 ID:flZ1wfTAO
それからもおっさんは景色を見ろとしつこかったので
俺は身を屈めたまま勇気を出してちょっとだけ外を見た

すると視界に広がったのは青一色だった

屈んだ俺の位置からだと周りの建物なんて一切見えなくて
観覧車の窓は全部綺麗な青一色だった

俺は予想外に怖くなかった景色に
恐る恐る背筋を伸ばしてみた

ら、怖かった

268:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 17:35:20.11 ID:nSYIyr/J0
よっぽど怖かったんだなw

273:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 17:49:05.98 ID:flZ1wfTAO
おっさん「お前何怖がってんねん。飛行機は乗れてたやん」

俺「飛行機はこんな高なかったわ…」

おっさん「変な奴やっちゃなぁ…まぁええわ。一回見てもうたら一緒や。ちゃんと見てみ」

俺はまだしつこいおっさんにうんざりしながらも
窓に付いてる手すりみたいなやつにガッチリ掴まって渋々周りを見ることにした

すると最初は怖かったものの慣れてきたのか
長く続いている線路
遠くに見える海
玩具のようなビル
豆粒のような人間
俺は次第に興奮していった

275:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 17:51:04.14 ID:OcThB20R0
文章上手いな
もし創作であったとしても、もう別にいい

276:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 17:54:38.22 ID:ElfOH7eC0
このまま泣く自信ある

277:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 17:57:38.38 ID:vSFVPbIk0
なんか泣きそう

280:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 18:08:03.35 ID:flZ1wfTAO
まだ完全に恐怖が消えないため手すりは握ったままだったけど
もう俺は外の世界に夢中になった

そんな俺におっさんは言った

おっさん「どうや、なかなかええ景色やろ」

俺「うん、何かちょっといけてきたかも」

おっさん「おう。みんなな?そんなモンやねん。井の中の蛙言うやろ?」

俺「何それ知らん」

おっさん「だからなぁ?今自分の身近にあるモンだけが全部ちゃうってことや」

おっさん「ちょっと見る角度変えただけで、
      いつものしょーもない町がこんなにええモンになんねん」

おっさん「最初は誰かて怖いけど、やってしまえば案外なんとかなる」

おっさん「周りがあかんのやったら視点を変えたらええんや。わかるか?」

俺「んー…ようわからん」

おっさん「やろうなぁ」

281:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 18:10:00.11 ID:flZ1wfTAO
その時の俺はまだガキだったので
おっさんが何でいきなり校長先生みたいな話をしだしたのか全くわからなかったけど

「こんな話ちゃんと聞かんでええねん。何となくでええねん」

と言ったのは今でもハッキリ覚えてる

282:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 18:10:24.86 ID:Xvffmec50
おっさん…

283:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 18:10:26.59 ID:YaRWjxMl0
おっさん…
ダメなやつほどよく語るよな
そこがいいんだけど

288:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 18:16:04.56 ID:1sBUe1W+0
おっさん…

292:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 18:21:16.02 ID:flZ1wfTAO
そんなこんなで観覧車を降りて辺りがちょうど暗くなり始めた頃、
俺達はいつもの町に帰ってきた

そして空き地まで戻ってくると
おっさんは渡すモンがあるからと
土管の中に潜ってしばらくしてから
ちょっと汚れたノートを俺に差し出した

おっさん「お前明日から学校やろ。ほれ、アサガオの観察日記や」
おっさんは律儀に観察を続けていたのだ

295:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 18:27:01.95 ID:flZ1wfTAO
俺「あー!めっちゃ忘れてたわ!おっさんありがとう!」

おっさん「ちゃんと毎日書いたんやで。感謝せぇよー」

俺「お礼に明日おっさんの好きなモン作ったるわ!何がええ?」

おっさん「んー、明日はええわ。って言うか…今日で仕舞いや」

俺「え?何が…?」

何がって聞かなくても空気でわかったけど
俺はあえて言葉にした
いつもみたいに冗談だと返して欲しかったのだ

296:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 18:27:44.54 ID:xo/g0KEQ0
ああああ・・・・

297:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 18:27:44.89 ID:OcThB20R0
うわああああ

299:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 18:28:27.28 ID:AEgUtGhO0
いやああアアアアアアア

302:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 18:30:20.31 ID:n2LWl7nd0
うわああああ

303:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 18:34:07.17 ID:8KnzTTIiO
まさかの終盤クルー

304:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 18:34:10.98 ID:flZ1wfTAO
頭が真っ白になった
さっきまでの楽しさは夢のように消えて
変わりに嫌な汗がダラダラと流れてきた

おっさん「もう今日でさいならっちゅーこっちゃ」

俺「だ…だから何でなん…」

おっさん「おっさんなぁ、引っ越しするんやわ」

俺「ホームレスのくせに引っ越しとかあるわけないやん…」

おっさん「いやいやホームレスだって引っ越しぐらいするって」

俺「せーへんわ…」

おっさん「するって」

俺「………」

(俺のこと嫌いになったんか?)

喉まで出かかったけどやっぱり聞けなかった

305: 【3.5m】 :2011/09/01(木) 18:34:37.37 ID:Bwv33Yk30
なわああああ

308:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 18:37:10.55 ID:OcThB20R0
ホームレスのくせに引っ越しって
確かに子供は思うわな
関西人だからか軽妙だな

309:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 18:40:13.57 ID:flZ1wfTAO
またぼっちに逆戻り

そう思うと悔しくて悲しくて悔しくて悲しくて
物凄く寂しくなった

それからおっさんは
「もう8時や。早よ帰り」と
いつものように俺の背中を押した
ただいつも違ったのは
軽くなったリュックサックを背負い
汚れたノートを抱えて唇を噛む俺だけだった



310:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 18:40:33.88 ID:XQrFKcGG0
追いついた途端にこれかよおおおおお

313:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 18:44:56.59 ID:iFxmZUWB0
追いついてこれとか・・・

314:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 18:45:05.37 ID:flZ1wfTAO
その日はあまりにショックで眠れなかった

というのは嘘でリュックサックとノートをぶん投げたまま
俺は遠出の疲れで居間で死んだように爆睡した

翌朝目覚めると母が運んでくれたのか
きちんと布団で寝ていて観察ノートもしっかりランドセルに入れられていた

316:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 18:46:18.01 ID:n2LWl7nd0
寝るなよwww

318:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 18:48:00.61 ID:K5N5xVuv0
寝ちゃうのかよww

319:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 18:49:53.94 ID:flZ1wfTAO
俺はランドセルを背負い学校へ向かった
本当に爆睡だったため、道中に何度も昨日ことは夢じゃないのかと
グルグル考えてはなぜか学校に近付くにつれ現実に戻され
その度に俺はおっさんに裏切られたという思いでいっぱいになった

321:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 18:56:14.52 ID:flZ1wfTAO
久し振りの教室に俺の居場所はやっぱり無かった
でもそんなのは慣れていたので俺は淡々と自分の席につき、
ランドセルを置いたところで先生が来て
夏休みの宿題を提出することになった

周りのクラスメイトはあれを忘れただの
アイツがすごいだの賑やかに話していたが
俺は憂鬱なだけだった

なぜなら夏休みの宿題のほとんどをおっさんと一緒こなしたからだ

326:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 19:01:23.75 ID:flZ1wfTAO
漢字や計算ドリルではわからないところを教えてもらい
自由工作では器用なおっさんと一緒にゾウの貯金箱を作った
読書感想文は本を読むのがめんどくさかったので
おっさんが適当に作った冒険話を聞いてその感想を読んだかのように書いた
そしてアサガオの観察日記にいたっては
もう100%おっさん作だった

328:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 19:02:40.38 ID:mKmCtu8z0
アサガオの日記ばれるだろww

331:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 19:09:52.42 ID:vSFVPbIk0
そんな大人になりてぇなぁ。
そして子供に戻りたくなった

332:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 19:09:56.80 ID:flZ1wfTAO
書き忘れたけど結局絵日記は持って行かなかった
爆睡して遊園地のこと書けなかったし
爆睡しなくても多分書けなかったと思う

みんなが各々提出する中、
俺も混ざって持ってきたものを先生に渡した
全員が渡し終わると先生は徐に数人の日記や工作に目を通し
面白おかしくコメントしたり突っ込んだりしだした
けど俺はまったく笑えなかった
面白さならおっさんのほうが数倍上だと思った

すると不意に自分の名前が呼ばれた
端から先生の話など聞いてなかったので
呼ばれると思わずビクッと体を揺らしてしまい恥ずかしかった

335:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 19:13:32.81 ID:ILZK8I0r0
いい流れだ

338:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 19:16:43.87 ID:flZ1wfTAO
先生「>>1の観察日記はすごいなぁ。よう描けてるわ」

俺「はぁ…」

先生「けどちょっと絵も字も上手過ぎるような気もせんでもないけどなぁ」

俺「はぁ…」

先生はニヤニヤと俺を見ながらページをめくっていく
ただでさえ注目されるのは嫌なのにクラスメイトは黙って
俺のノートを見る先生の様子を伺っている

俺はあまりの居たたまれなさに俯いてしまった
早く終われ、早く終わってくれ
おっさんにやってもらったことなんか後でならバレてもいいから
とにかく早く終わってくれ
そう願っていると先生が突然笑い出した

343:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 19:21:00.22 ID:ILZK8I0r0
先生、なんで笑うんや!

344:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 19:21:56.52 ID:L3dKYRrf0
先生はよ

345:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 19:21:58.54 ID:flZ1wfTAO
先生「知らんかったなぁ。>>1は食べるんがそんなに好きなんか?」

俺「はぁ…?」

あまりに意味不明な言葉に俺は俯いていた顔を上げた
すると先生は俺の方へ近付いてきて机にノートを広げ、
日記の文章を書く欄を指差した

そこには、

8月○日 晴れ
アサガオに水をやった。
飯うまかった。

と書かれていた。