当時の家族構成
父♂ 46歳 会社役員
母♀ 42歳 専業主婦
姉♀ 16歳 高校1年生
俺♂ 12歳 小学6年生
妹1♀ 9歳 小学3年生
妹2♀ 5歳 幼稚園年中組
俺が小学1年生のときに一軒家へ引越した。
姉貴はそこそこ優秀な都立高校に行ったし、俺より後に妹も2人生まれた。
わりと幸せな家庭だと思っていた。あの日までは。
親父は平日は仕事から帰るのは深夜、土日のどちらかはゴルフに行くような人だった。
ところがあの日、親父が珍しく早く帰ってきた。
その日は母が高校の同期会とかで帰郷していて、姉弟4人でごはんを食べていたんだ。
ふむふむ
続けたまへ
親父「おう俺!塾の成績はどうだ?」
俺「まぁまぁかな」
親父「志望校は決めたのか?」
俺「うーん。行きたい学校はいくつかあるんだけど、まだ決まってない」
親父「あと半年なんだから、早く決めないとな」
俺「うん」
姉「ねぇねぇおとうさん。私、ちょっと進路とかで相談があるんだけど、今日時間あるかな?」
親父「ああ、いいぞ。風呂から出たらでいいか?」
姉「うん!」
妹たち「お父さん。わたしたちもいっしょにはいるー」
親父「よーし。じゃあ今日は3人で入るか!」
まるでホームドラマのような、和やかな光景だったんだ。
俺は夕食のあと、「塾の宿題をやる」と言って自分の部屋へ篭った。
もちろん宿題もちゃんとやったが、学校帰りに拾ったエロ本でオ。ニーもした。
まだ精通はしていなかったが、快感の虜になっていた俺。
「早くセックスしたいなー」なんてことを考えながらオ。ニーしていた。
そうこうしている間に親父と妹たちが風呂から出たようで、
妹たちは「おやすみなさい」と俺に言いに来た。間一髪であった。家族会議マジ勘弁。
しばらくして、俺もそろそろ風呂にはいろうかな、と自室から出て1階へ向かった。
すると、親父の書斎の前に姉貴がいた。
姉貴は俺には気づかず、書斎をノックして入っていった。
さっきなんか相談あるって言ってたから、俺も別に気にもしなかった。
俺は風呂へと向かった。
25歳。一応社会人してる。
風呂とセックスはどちらの方が気持ちいいのか。
おそらく俺はそんなことを考えていたに違いない。
元々俺は長風呂だったんだが、1時間くらい入っていただろうか。
ちょっとのぼせたかな、なんて思いながら風呂から出て、自室へ戻ろうとした。
ただ、なんだかそのとき、プチシスコンの俺は姉貴の相談ってのがちょっと気になって、
親父の書斎へと向かってしまったんだ。地方の大学へ行きたいのかな?そしたらさみしいな。
そんなことを思いながら書斎の前についた俺を待っていたのは、理解不能な物語の序章だった。
姉貴「ねぇお願い・・・出してよ」
親父「そうは言ってもなあ。俺や妹たちだっているんだぞ」
姉貴「16になったらって約束だったのに」
親父「母さんだって困るんじゃないのか?」
姉貴「そんなのどうだっていいじゃない!あの人とは出してないんだから!!」
親父「それはそうだが・・・」
書斎から漏れ聴こえる声の主は間違いなく親父と姉貴。
しかしなんのことを話しているのかはさっぱりわからない。
なんだろう?学費のこと?私大に行きたいのかな??
とりあえず書斎の扉を開けてはいけない予感がしたので、そのときはおとなしく部屋へ戻ったんだ。
そして俺は眠りについた。
翌日の早朝。
姉貴の怒鳴り声で目が覚めた。
まだ6時じゃんか・・・と思いながらも、
親父と何かあったのかなと気になって食堂へ向かった。
母が帰ってくるのはこの日の夕方の予定だったので、喧嘩なら止めようと思ってた。
姉貴が怒鳴っている相手は、予想通り親父。
親父「落ち着け姉」
姉貴「落ち着いてなんからんないよ!あの人がいない今日がチャンスなんだから」
親父「自分の母親のことを、あの人なんて言うんじゃない」
姉貴「話そらさないでよ!判子押すだけでいいのに・・・どうしてダメなの?」
判子押すだけ?
なんだろう?親の承諾が必要な何かかな?ピアス穴開けるとか??
そんなことを思いながら、そろそろ止めようか、と姉貴たちに声をかけようとしたそのときだった。
俺「おねえt」
姉貴「やっと本当の家族になれるって思ったのに!!」
俺「えっ・・・!!」
親父「!!俺・・・」
姉貴「!?」
完全に時が止まった。
え。え?
いま姉貴なんて言った?本当の家族??それ何。どういうこと???
キャパシティを完全に超えた状態で、
やっと俺が口に出せたのは「お、おはよう」のひとことだった。
姉貴「・・・行ってきます!」
その場を走り去るかのように学校へと向かう姉貴。
その場から動かず、何事もなかったかのように振舞う親父。
親父「おう俺。おはよう」
その場で何をしたらいいのかわからず、親父と朝食をとることになった俺。
俺はきちんと登校したし、妹2を幼稚園に連れていったのは親父だと思うんだが、
そんなことも覚えていないくらい呆然とした一日だった。
気づいたら放課後で、ちゃんとランドセルを背負って家の前まで帰ってきていた。
そこで俺は思い出した、今朝の理解不能な出来事を。
そして、この玄関のドアをあけると、母がいるということを。
俺「・・・ただいま」
母「あら俺、おかえり」
妹たち「おにいちゃんおかえりー」
今朝の姉貴の「本当の家族」って言葉が頭をかけめぐる。
もしかして俺たちは「偽の家族」なのか。
母に訊いたらラクになれると思ったが、
笑顔でおやつを食べている妹たちがいる前では話を切り出せなかった。
その日の夕方、姉貴からは「友達へ泊まる」という連絡があった。
母は、泊まるってわかってたらお土産もたせたのに・・・と言っていた。
その日の夕食は、母と妹2人、そして俺。
妹2人がなにかアニメを観ながら食べていた気がする。
俺は完全にうわの空。味なんてわからなかった。
そして俺は塾の宿題と言って自室に篭った。
母が2人の妹と風呂に入り、
絶好のアタックチャンスだったにもかかわらずオ○ニーはしなかった。
勉強もち○こも、手につかなかった。
>勉強もち○こも、手につかなかった。
シリアスなシーンで言うかwwww
3人が風呂から出てきたので、俺も風呂に入ることにいた。
妹たちとおやすみ、と言葉を交わし、風呂へ向かう俺。
居間では、母がテレビを観ながらアイロン掛けをしていた。
そこで俺に何かが囁いた。
今朝のことを訊くなら、今しかチャンスはないぞ、と。
天使だか悪魔だかもわからない何かの囁きに耳を傾けてしまった俺は、居間で足をとめた。
俺「お母さん」
母「なーに?」
俺「ちょっと・・・訊きたいことがあるんだけど」
母「お風呂先に入ってきたら?」
俺「できたら入る前がいいんだけど・・・」
母「はいはい。じゃあこのYシャツアイロンかけおわるまで少し待ってね」
俺「うん」
このときアイロンをかけていたのは親父のYシャツだった。
その後もとには戻らない家族関係をあざ笑うかのように、
親父のYシャツは、母の手によってもとどおりの型へと戻っていった。
母「それで?ききたいことって?」
俺「うん・・・実は・・・」
なかなか続く言葉が出てこなかった。
5分・・・10分・・・時間だけがすぎていく。
それでも俺の真剣さが伝わったのか、何も言わずに待ってくれる母。
俺「あのさ」
声を出すことができたのは、30分以上がたってからだった。
俺「・・・僕たち、『本当の家族』だよね?」
優しそうに微笑んで、それでいて悲しそうな母の表情。
小学生とはいえ、さすがの俺でも察した。ああ、「本当の家族」じゃないんだな、と。
俺は泣いた。
声は出なかった。
母は俺の頭に触れようとした。
俺の手は、母の手をふりはらった。
母も泣いていた。
ごめんね、と繰り返しながら泣いていた。
母「でもね、俺」
俺の涙が枯れたころ、母が言った。
母「姉も、俺も、妹1も、妹2も、みんな私が産んだ私の子よ」
・・・え?
俺たちは「本当の家族」じゃなくて。でもみんな母の子で。
え、俺の涙はなんだったの?てか母よ、あなたの涙もだ。
っていうかじゃあごめんねとか言うなよ紛らわしい。
「みんな私の子」という母の言葉は俺に安心感を与えてくれた。
一方、内心ホッとしていた俺の無防備な心にとどめをさしたのも、母の言葉だった。
母「でもね、お母さんとお父さんは結婚してないの」
結婚・・・してない?
どういうこと?夫婦って結婚しなくてもなれるの??
またしても俺を襲う理解不能な言葉。
混乱している俺を、母の言葉がさらに襲う。
母「そして、姉だけはお父さんの子じゃないの」
母「姉は、お母さんが前に結婚していた人との子なの」
俺「・・・」
母「お母さん、バツイチなんだ」
それから母は、ゆっくりと俺の理解が追いつくまで待ちながら真実をきかせてくれた。
姉は親父と血が繋がっていないと知っていること。
実は親父もバツイチで、前の奥さんとの間にも子供がいること。
「結婚していない」というのは、婚姻届という書類を出していないから、ということ。
ここまで聞いて初めて姉貴の「判子押すだけ」の話がわかった。
そして俺は、言ってはならないことを言ってしまった。
俺「お姉ちゃんが言ってたのは、その婚姻届っていう書類のことだったんだね」
母の表情が一瞬で曇った。
母「・・・どういうこと?」
俺は、姉貴が「判子押すだけ」って言ってたことを話した。
母は宙を見つめながら、私が押さなければ済むから良いわ、とつぶやいた。
怖くなった俺は、おやすみなさいと言って自室に戻った。
いろいろ聞いて疲れたな・・・。
お姉ちゃんはお父さんの子じゃないんだ・・・。
でも俺とお姉ちゃんは姉弟だよね・・・大丈夫だよね・・・。
風呂は明日の朝にしよう・・・。
そんなことを考えながら俺は眠った。
翌朝。
若干ぎくしゃくした態度ながら、
母と言葉を交わしたり、朝食をとったりすることはできた。
2人の妹に気取られないよう、できるだけ自然に振舞い、会話する俺。
妹1「・・・なんか今日のお兄ちゃん、ヘン」
バレてた。