- 216:華丸 ◆vk8BsG8fow :2011/12/12(月) 19:49:01.86 ID:C73jG/nL0
- このへんでとりあえずコミケ編は一段落。俺は実家に帰った。
実家といえば天国、大晦日は紅白見ながらコタツにいれば
自動的に料理が出てくるw俺はしばし実家を堪能することにした。
でも俺は肝心なことを、忘れていたんだ…
そう、あのメールを…
- 217:華丸 ◆vk8BsG8fow :2011/12/12(月) 19:55:59.72 ID:C73jG/nL0
- 意外なことに、美保はあの
「久しぶり」
というメール以来メールをしてこなかった。でもその音沙汰の無さっぷりが、逆に不気味に感じられた。
一体何が目的だったのか…大晦日の実家のコタツで、
俺は自分のケータイを見ながら悶々としていた。
- 218:華丸 ◆vk8BsG8fow :2011/12/12(月) 19:59:10.75 ID:C73jG/nL0
- そして年越しの瞬間。
おれはそに子や板尾たちにあけおめメールを送ろうと必死だった。
5,4,3,2…
俺「よっしゃ年越し!ジャンプ!!」
兄「うるせえな」俺は毎年年越しの瞬間にジャンプをする。
- 219:名も無き被検体774号+:2011/12/12(月) 20:03:02.94 ID:acwXBqVwO
- 私もジャンプしますw今から絵の練習がんがる!続き楽しみにしてるよ~
- 220:華丸 ◆vk8BsG8fow :2011/12/12(月) 20:03:58.19 ID:C73jG/nL0
- 「あけましておめでとうございます!!」
ウチは毎年年越しの瞬間はジャニーズのライブのテレビと決まっていた。
新年を迎えた。去年は色々進歩の年だった。
今年はいい年になるだろうか…これから良い事なんて何一つ無いとは知らずに、
当時の俺はのんびりそんなことを思っていた。年を越した瞬間、携帯にたくさんメールがきた。
- 222:名も無き被検体774号+:2011/12/12(月) 20:08:51.56 ID:3y9vRRh/0
- 何かいやな予感が。
- 223:華丸 ◆vk8BsG8fow :2011/12/12(月) 20:11:06.81 ID:C73jG/nL0
- たくさんの新年メール。
メールはそに子に、板尾に、高校のクラスメイトに…美保もいた。
なんとなく予想はしていたが…もっと体調が悪くなると思ったが、実際そうでもなかった。
なんでだろう、今でも分からない。
年明けテンションなのか、なんなのか。
俺はそのメールに返信してしまった。ただ、スルーしておけばよかったのだ。
- 225:華丸 ◆vk8BsG8fow :2011/12/12(月) 20:16:32.95 ID:C73jG/nL0
- 俺はそに子のおかげで異性不信もすっかり良くなっていた。
だから思わず気を許しちゃったんだろう。送ってくるメールの内容もひたすら普通だったし、当時のことも
本当に悪いと思っているようだったから。
ただ、相手は自分を異性不信におとしめた根源だってことを、忘れてた。正月ってヒマでしょ?割とみんな、社会人も。
だからメールとかすごいしちゃうんだ、無駄に。美保とのメールで、
けっこうな事を話したと思う。今行ってる大学、美術部にいること…
- 227:華丸 ◆vk8BsG8fow :2011/12/12(月) 20:22:53.18 ID:C73jG/nL0
- 俺だってこの時は美保のこと基本普通な子だと思ってた。
だからきっとあの時は何かの間違いで、彼女もおかしかったんだ…
そう思ってた。というか、そうであって欲しかったんだと思う。このメールしてた時は、
美保は普通な子だったんだ、だからあのトラウマももういいんだ、
っていう証明みたいなものが欲しかったんだと思う。う~ん、わかりづらくてゴメン。
この時の心境は、自分でもよく分からないんだ。
- 228:華丸 ◆vk8BsG8fow :2011/12/12(月) 20:31:20.54 ID:C73jG/nL0
- それから、またすっかり美保からの連絡は止んだ。
俺はほっとしていた。色んな意味で。その頃だったか。
3月にまた美術部で割と小規模だけどまた展示会があることを聞いた。
さらに、板尾と二人で次の夏のコミケにサークル参加の申し込みもした。よし、またお絵描き頑張ろう。
色々動き始めている気がした。なんていうか希望や展望に満ちてた。
- 229:名も無き被検体774号+:2011/12/12(月) 20:33:15.09 ID:oUbYl0cW0
- なんか、>>1の人柄が文章に出てて
好感が持てるな。続けてくれ。
- 230:華丸 ◆vk8BsG8fow :2011/12/12(月) 20:33:58.85 ID:C73jG/nL0
- キリがいいかな?
ちょいと晩メシ食べるので30分ほど時間あきます。
すいません、30分後にまた再開します~
- 233:華丸 ◆vk8BsG8fow :2011/12/12(月) 21:02:21.18 ID:C73jG/nL0
- もどった!みんなありがとう。ではまた続きをマッタリ書いていきます。
- 236:華丸 ◆vk8BsG8fow :2011/12/12(月) 21:12:33.21 ID:C73jG/nL0
- 年が明けて、俺は生まれ変わったようだった。色々やりたいことが見えてきて、ワクワクしてた。
まず、心配だったのはそに子の受験だった。私立なので2月に受験だと言う。なので連絡もあまりとれなかったが、定期的に、本格的に勉強のことを
質問してくる電話がかかってきた。
一生懸命だし、頼ってくれるのはとても嬉しいことだった。
- 237:華丸 ◆vk8BsG8fow :2011/12/12(月) 21:16:14.55 ID:C73jG/nL0
- そに子も頑張ってるし、俺も展示会に向けてまた絵を頑張ろう。
それからはそに子の心配をしつつ自分もひたすら絵を描く日々だった。そに子が大学に受かっていれば、そに子も展示会を見にこれる。前回は板尾に頼ってばかりだったけど、今回は自分一人で
描ききって、板尾をビックリさせてやる。
- 238:華丸 ◆vk8BsG8fow :2011/12/12(月) 21:19:29.82 ID:C73jG/nL0
- 2月某日。
俺の大学の入試の日だった。俺は力になってやろうと思って、
キットカットを買ってスケッチブックを持って大学へ走った。
走ったと言っても電車に乗って行ったのだが。
- 239:華丸 ◆vk8BsG8fow :2011/12/12(月) 21:24:19.51 ID:C73jG/nL0
- 先回りしようと俺は急いだ。
生活リズムのおかしかった俺は、久々の早起きで
息上がりまくり、貧血気味でフラフラだった。
そに子に電話した。
俺「はあはあ…今…どこにいる感じ?」
そに子「さっき駅出て…もうすぐ大学に着くよ」
俺「そっか…頑張ってね…」
(よし、このまま正門で待ち伏せだ…)
- 240:華丸 ◆vk8BsG8fow :2011/12/12(月) 21:31:27.32 ID:C73jG/nL0
- 俺は前日までにたくさん絵を描いた。スケッチブック一冊くらい。
しかし、合格祈願とか、そういったイラストではなかった。
最初はむしろ渡すつもりも毛頭なくて、好きに落書きしていた。でも、この絵をそに子に渡したらどうかな…と脳裏によぎった。
合格祈願とかそんなんじゃなくて、
試験前とか休憩中に、俺の絵見たら少しはリラックスできるんじゃないかな
と思ったのである。なので俺はスケッチブック一冊好きに落書きしたものを、当日そに子に渡そうと決心したのである。
- 241:華丸 ◆vk8BsG8fow :2011/12/12(月) 21:37:42.44 ID:C73jG/nL0
- 俺「あ、そに子…」
そに子「うわ!華丸さん…どうしたの?」
俺「これ…あげるよ…頑張ってね」
そう言ってキットカットとスケッチブックを差出す。
そに子は怪訝そうな顔をしてスケブをまじまじと眺めた。でもすぐに笑顔になって、
そに子「何これ、バカみたいw」と言って笑った。
俺「いいから、頑張れよ」
俺は少し恥ずかしかった。
そに子「ありがとう、頑張るね…」
そに子はそういって校門をくぐっていった。緊張が解けたようで嬉しかった。
- 244:華丸 ◆vk8BsG8fow :2011/12/12(月) 21:39:53.91 ID:C73jG/nL0
- 少々気付いてる人もいるかもしれないが、
俺は恋に落ちると好きになった相手しか見えなくなるフシがある。
そして少々やりすぎてしまうことがある。
この件もそうだった。でもそに子は俺にひくどころか喜んでくれた。
本当に良かったと思う。
- 245:華丸 ◆vk8BsG8fow :2011/12/12(月) 21:43:47.99 ID:C73jG/nL0
- この日はなんだか本当に楽しかった。
受験っていう緊張感もあったからか、なんだか非日常の世界にいる気がした。たくさん絵を描いたのも、駅から大学まで走ったのも、そに子を待ちぶせたのも
全てが楽しかった。バカなことしてるなあと思った。でも、そんな自分がなんだかかっこよく思えて、
そに子と自分だけの世界があるような気がした。
本当に恋してたんだと思う。
- 247:華丸 ◆vk8BsG8fow :2011/12/12(月) 21:56:16.74 ID:C73jG/nL0
- そんなこんなで、とりあえずそに子の受験は一段落した。
あとは神に祈るだけだった。俺はといえば、3月に迫った展示会の絵に向かい合った。
途中経過を板尾に見てもらった。
板尾「まだ細かいとこはあれだけど、なんつーかすげえ気持ち篭ってるな」
俺「今回の展示会は賭けてるからね」
板尾「なんかいつもそう言ってないか…」
- 248:華丸 ◆vk8BsG8fow :2011/12/12(月) 21:58:41.72 ID:C73jG/nL0
- 板尾「次のコミケさは」
俺「うんうん」
板尾「二人で合同本にしよーぜ。なんか一つテーマを決めて。」
俺「あーいいねそれ。すげえ楽しそうじゃん」板尾「金髪ツインテとかどうかなw」
俺「なんだそれwなら俺はショートヘアの女の子を推すw」前回個人本だった俺たちは、次のコミケは合同本を出すことにした。
- 249:華丸 ◆vk8BsG8fow :2011/12/12(月) 22:03:01.62 ID:C73jG/nL0
- 展示会も迫る中、そに子の受験の合否が出た。そに子は見事俺と同じ大学に合格した。
そに子から電話があって
そに子「わたしやりました、やりました…うう…」
俺「あれだけ頑張ってたもんねえ」もちろんどれだけ頑張っていたかは知っていた。だから自分のことのように
嬉しかった。本当に嬉しかった。
- 250:華丸 ◆vk8BsG8fow :2011/12/12(月) 22:06:04.85 ID:C73jG/nL0
- これでそに子も展示会に遊びに来れる。
それどころか晴れて同じ大学に通えるんだ。もうるんるんだった。
展示会の絵も筆が乗って、いい感じに進んだ。
展示会が楽しみで仕方なかった。
- 252:華丸 ◆vk8BsG8fow :2011/12/12(月) 22:11:40.33 ID:C73jG/nL0
- そして展示会当日。
俺は去年の6月の展示会のようなヘマをすることは最早なかった。
力仕事もするし、部員たちとも男女問わずわりと打ち解けていた。新部長「華丸よく働くねーw」
新部長は一個上の先輩でこれまた女性だった。
俺「まあ当然ですよねww」俺にとって展示会はそに子会えた貴重な場だった。
だから展示会はすごくいい気分になれた。しかし俺はこの展示会についてある一つのヘマをしたことを忘れていた。
- 253:華丸 ◆vk8BsG8fow :2011/12/12(月) 22:14:40.40 ID:C73jG/nL0
- 俺は正月のメールで、
美保に自分の現在の大学と、部活を教えていた。
そして美保も今東京の大学にいるらしかった。そして、ウチの部は割と前からこの日の展示をサイトで告知していた。当然、この時の俺がそんなことまで頭が回っているはずがない。
- 256:華丸 ◆vk8BsG8fow :2011/12/12(月) 22:27:29.73 ID:C73jG/nL0
- 展示会一日目がスタートした。
俺はシフトと関係なくフラフラ街へ出たり、ギャラリーに戻ったりしていた。
俺のシフトは午後だった。
そに子は午前中のうちに来るというので、俺もそれに合わせることにした。そに子が来て、俺とそに子はギャラリーの近所の喫茶店でぼーっとしていた。
二人でお絵かきしたりして、
なんというか、嵐の前の静けさだったんだろう。
本当にあるんだね、静けさ。
- 257:名も無き被検体774号+:2011/12/12(月) 22:30:16.74 ID:V7u3SwGI0
- なんでもないようなことが幸せだったと思うんだよね
- 258:華丸 ◆vk8BsG8fow :2011/12/12(月) 22:33:44.40 ID:C73jG/nL0
- もう少しで正午、ってとこだったかな。
突然、俺の電話が鳴った。
俺「なんだ、遠藤じゃないか…アイツまた女子に怒られたのか?w」
遠藤「あー、華丸?なんかさっきからお前はいないかって聞いてくる
女の子がいるんだけどさー お前またなんか捕まえたのー?w」俺「あ…マジか…ちょっとわかんないって言っといて…」
(いや…まさか…そんなはずは…)
- 259:名も無き被検体774号+:2011/12/12(月) 22:35:15.74 ID:0sUgdEzMO
- こええええええ
- 260:華丸 ◆vk8BsG8fow :2011/12/12(月) 22:37:45.11 ID:C73jG/nL0
- そに子「どうしたの…?」
俺「いや、わかんない…でもそろそろシフトだしとりあえず戻らないと、だね」いや、だってまだ誰か分からない。
嫌な予感はしたけど、女性の知り合いが皆無というわけじゃない。
でも心当たりは一切なかった。
大丈夫…俺はそう思ってそに子とギャラリーに戻ることにした。
- 261:名も無き被験体774号+:2011/12/12(月) 22:37:48.74 ID:ze7E89Fc0
- うええええ
怖すぎだろ
- 263:華丸 ◆vk8BsG8fow :2011/12/12(月) 22:42:11.59 ID:C73jG/nL0
- 予感的中。
俺は頭が真っ白になった。
そこにいたのは紛れも無く美保だった。
少し大人びてはいたが。さらにタイミングが本当に最悪だった。俺はそに子と二人でギャラリーに行った。
誰がどう見ても「一緒に来た」状態なのである。
まあその通りなんだが。
- 265:華丸 ◆vk8BsG8fow :2011/12/12(月) 22:45:41.69 ID:C73jG/nL0
- 俺は明らかにおかしくなった。
膝が震えて、動悸が止まらないんだ。
いや、美保自体には最早恐れとかのたぐいは無かったんだが
「ここまで来ている」という状況が本当に怖かった。なぜここにいるんだ?にわかには信じがたかった。
今だから冷静に分析して正月のメールとか、サイトの告知が…
とか原因は分かるが、
その瞬間はもう、何も分からなかった。
- 266:華丸 ◆vk8BsG8fow :2011/12/12(月) 22:51:14.87 ID:C73jG/nL0
- 俺「こ、こんにちは…」
美保「久しぶりだね、華丸…、
そっちの子は誰?」
そに子「あ、そに子って言いますハジメマシテ…」まさに修羅。と思った。。
一体どうなってしまうのか…
でもそうでもなかった。
美保「そっか、可愛い子だね…華丸と仲良くね」
そに子「あ、はい…」普通である。
- 267:華丸 ◆vk8BsG8fow :2011/12/12(月) 22:54:31.63 ID:C73jG/nL0
- な、なんだ普通じゃないか。
俺はほっとひと安心した。
そう思うと急に馬鹿らしくなって、なんか楽になった。俺がシフトで受付をしてるあいだ、そに子と美保はずっと一緒に展示を見たり、
近所の店にフラつきに行っているようだった。
- 270:華丸 ◆vk8BsG8fow :2011/12/12(月) 22:57:56.42 ID:C73jG/nL0
- 俺のシフトが終わる頃、
美保「じゃあね華丸、頑張ってね。」
とだけ言ってあっさり去って行った。一体何だったのか。俺もシフトが終わったので帰ろうと思って、そに子に電話した。俺「そろそろ帰るんだけど、一緒にマックでも寄ってこうよ」
そに子「うん…」
やけに暗い声だった。
- 274:名も無き被検体774号+:2011/12/12(月) 23:02:49.22 ID:zVjSiAs80
- いやな予感。。。
- 275:華丸 ◆vk8BsG8fow :2011/12/12(月) 23:02:52.19 ID:C73jG/nL0
- 俺「いやー腹減った。俺何たべよー。そに子は?」
そに子「………」
いやに静かだった。一体どうしたんだろう。席につくと、そに子はカバンも下ろさなかった。
俺「へ…どしたの…?」
そに子「美保さんは…華丸さんの高校時代からの彼女さんなんですか?」
俺「は?」
- 276:名も無き被検体774号+:2011/12/12(月) 23:03:31.24 ID:zVjSiAs80
- え???
- 277:名も無き被検体774号+:2011/12/12(月) 23:04:02.45 ID:hf2xHnDj0
- みほ恐ろしす…