駆け落ちして田舎から逃げた話。 - 暇つぶしのゆいたんねる - 2ページ

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駆け落ちして田舎から逃げた話。

投稿日:2016年9月27日 更新日:


77:2012/01/25(水) 02:38:00.43 ID:

次の日。
朝早々と旅館を後にした。
あまり長くいると、親に連絡される可能性があり、電話番号が違うのも
ばれると思ったからだ。
旅館を出て、有紀子に
「東京を目指そう」
とつげた。
東京に行けば何とかなる。
そんな安易な考えで。
彼女は何も言わず頷いた。

78:2012/01/25(水) 02:43:12.16 ID:

東京までの行き方を調べる。
とりあえず乗り換えのある駅まで行くことにした。
電車の中での会話は少なく、代わりに手を握る時間が長かったと思う。

そして、乗り換えの駅に着く。
もうすぐ東京。
そこまで行けば・・という根拠のない希望があった。




81:2012/01/25(水) 02:49:36.66 ID:

そしてまた電車を乗り継ぎ僕らは東京まであと少しと言うところまで
たどり着くことに成功した。
時刻は夕方6時。
今日はこの町に泊ろうと前日と同じように宿を取った。

83:2012/01/25(水) 02:54:35.94 ID:

その次の日。

宿を出たところで僕たちは警察官に補導されることになる。
僕らの宿泊を不審に思った宿が住所の番号に連絡→番号違う
→警察に
という流れだったらしい。
さらに、僕らには当然のごとく捜索願が出されていたらしい。

僕らの駆け落ちは何ともあっさり終わってしまった。

84:2012/01/25(水) 02:59:52.61 ID:

警察署までは有紀子の両親と僕の父が迎えにきた。
父は僕を思いっきり殴った。
痛みよりも悔しさでいっぱいだった。
有紀子は両親にさっさと連れられて行ってしまった。
ドラマみたいに上手くはいかないという現実を一気に突きつけられ、
悔しくて仕方なかった。

85:2012/01/25(水) 03:06:44.03 ID:

父が少年課の刑事さんに頭を深々と下げてまわる。
その中、一人の刑事さんが僕に声をかけてきた。
「この年で駆け落ちとは無茶苦茶したなぁ」
思わず睨む。が
「でもな。勢いだけじゃ何にも出来んかったろ?それ勉強したらどうするかな」
と言われた。
正直その時は全く理解できず、馬鹿にされたと思っていた。

86:2012/01/25(水) 03:12:28.01 ID:

僕は家に連れ帰られ、
父、母、祖父母と親戚にこれでもかと怒られ、
今後、有紀子と彼女の家に近づく事、そして残り夏休み外出禁止を喰らった。
両親と祖父母は有紀子の家にただひたすら謝り続けた。
一週間もすれば村中の噂はこの話で持ち切りだった。
だが、噂の内容は僕が有紀子を誘拐した事になっていたが。

87:2012/01/25(水) 03:17:20.01 ID:

そして夏休みが明けて学校に行く事になった。
久しぶりに堂々と有紀子に会える。
そう期待して学校へ。

しかし有紀子は学校に来なかった。

89:2012/01/25(水) 03:20:24.86 ID:

「体調が悪いのか」
そう思っていた。

だが次の日も有紀子は来なかった。

90:2012/01/25(水) 03:26:13.56 ID:

すると、クラスの女子で有紀子の友達が話しかけてきた。
名前をぶー子とする。
理由 当時のあだ名。本名は裕子 見た目で。

「ねえ、有紀子なんで急に転校なんてしたのよ?」
「は?」
何言ってんだこいつ?トリュフとマジックマッシュルームでも間違えたか?
「だから、なんで有紀子転校なったの?あんた同じ地区でしょ?何か知らないの?」

聞き間違いじゃなかった。

92:2012/01/25(水) 03:30:44.68 ID:

「・・しらない。」
転校?全く意味が判らない。
あの家は引っ越しなどしてない。
ぶー子に詳しく話を聞く。
「なんか、おじさんの家から通うって言ってたけど。高校も向こうで行くって」

ショックで頭がおかしくなりそうだった。
僕はこうして有紀子と完全に引き離されてしまった。

94:2012/01/25(水) 03:41:41.41 ID:

それからは毎日茫然とすごした。
連絡を取る手段もない。
もうこのまま二度と会えず、有紀子はあの太一のものになってしまうのか。
そんなのは絶対に嫌だ。
けれど、僕にはどうしようもない。

ただ時間だけが過ぎ、有紀子と引き離されて一年が過ぎた。
この間、何度か有紀子に連絡を取ろうと試みたが全て失敗に終わっている。

95:2012/01/25(水) 03:49:16.42 ID:

思わぬチャンスが訪れたのは中三の冬。
もうすぐ高校受験を控えた時期の事。
僕らの中学の生徒のほとんどは地元の高校へ行くのが大半である。
クラスではグループ学習の時間があり、試験対策勉強を行っていた。
僕のグループは男子3人女子2人の5人グループ女子の一人はぶー子だ。

96:2012/01/25(水) 03:53:49.89 ID:

問題集の答え合わせをしてる時、
ぶー子がおもむろに口を開く
「そういえばさ~有紀子。○○高校行くらしいね~」
・・・思わぬ所から出てきた有紀子の情報に思わず反応してしまった。
「えっ?えっ?それマジ?」
この反応はまずかった。
ぶー子はニヤリとすると鼻をふくらませブヒブヒいいながら
「あれ~気になっちゃう?」
とからかいだした。
チャーシューにするぞ。

97:2012/01/25(水) 03:58:57.50 ID:

「いや、別に・・」
あせって何でもないふりをする。
ぶー子は「ふ~んww」
と言いながらもニヤニヤしながらこっちを見る。
「まぁ、わたしも昨日電話で聞いたんだけどね~」

なん・・・だと・・・

98:2012/01/25(水) 04:02:49.54 ID:

思わぬところで有紀子と連絡を取る手段を見つけてしまった。
伝書鳩ならぬ伝書豚を。
問題はどうやって聞き出すか。

このお調子者のことだ。食い物で釣ろう。
給食のシュークリームを使う事に決めた。




102:2012/01/25(水) 04:11:46.17 ID:

その日の放課後。
ぶー子にシュークリームを手渡す。
「有紀子の連絡先教えてほしいんだ。」
ぶー子が目をキラキラさせながらにやける。
「フヒwwなんで?w」
屈辱だが背に腹は代えられん。
「理由は聞かないでくれ。頼む。」
「まwwいいけどwwはいww」
電話番号を教えてもらい、近くの公衆電話から掛けようと
教室を出ようとした。

104:2012/01/25(水) 04:17:10.29 ID:

「あwwwでも、それ有紀子の親戚でるから取り次いでもらわないといけないけどwww」
ぶー子テメェ。
「あww私が取り次いでやろうかwwwそん代わりww洗いざらい話せよwww」
この豚。思わぬ策士。

しかし、このチャンスを逃せば永遠に有紀子と連絡は取れない。
僕はぶー子に屈してしまった。

105:2012/01/25(水) 04:26:26.47 ID:

「うぇwww駆け落ちとかwww無計画ワロスwwwブヒヒww」
やっぱりコイツに話すんじゃなかったと大後悔時代到来。
「でもあんた男らしいじゃんwwちょっと惚れそうwww」
マジでやめろ。
「いいよw取り次いでやるよww」

ぶー子と公衆電話に向かう。
ぶー子が電話をかける。
「あ、もしもし。私有紀子さんの友達の裕子と申しますが。有紀子さんいらっしゃいますか?」
・・・いつもとキャラ違うぞ。借りてきた豚の様だ。

108:2012/01/25(水) 04:33:08.06 ID:

「あ、もしもし?有紀子?久しぶりwwちょっと替わるねww」
ほいっといきなり受話器を渡してくる。
「ちょ・・いきなり・・」
「いいからwwwいけよww」

「もしもし?」
とてつもなく緊張した。
『え・・もしかして、俺君?』
久しぶりに聞いた有紀子の声。
それだけで本当に泣きそうになった。

110:2012/01/25(水) 04:38:20.05 ID:

感極まってもう何を話していいかわからない。
無言でテレカの残度数だけが一つ減る。

「あの・・」
『うん。何?』
「まっててくれる?」

どう言っていいかわからなかった。
やっちまった。
そう思った。あんな事になった後だったから。

『わかった。それじゃあね。』
そういって電話が切れた。

111:2012/01/25(水) 04:43:45.46 ID:

しばらく受話器もってぼーっとしてた。
「ちょwwおまえwどうしたww有紀子なんてwww振られた?ww慰めてやろうかwww」
ぶー子の声でハッとする。
「いや、わかった。って。」
ぶー子が突然腹を抱えて笑いだす。
「ぶひっひwwそれwwまじでwww」
笑いすぎ。

114:2012/01/25(水) 04:49:30.82 ID:

笑う豚をおいて家に帰りじっくり考えた。

どうすればいいか。

前回は無計画の上で駆け落ち等と無謀な事をして失敗した。
嫌というほど屈辱を味わった。
何より、今度同じ事になればおそらくもう二度と有紀子には会えない。
けれど、このままでは有紀子は太一(40)と虎舞竜にされてしまう。

考えた挙句、思いついたのは
そうだ。太一消そう。

116:2012/01/25(水) 04:54:52.73 ID:

ぶー子は谷亮子を柳原加奈子の体型にして鼻を上ムキにしたら近いイメージ。

しかし。
すぐにそれじゃ駄目だと思いなおした。
それをしても結局また新たな相手を用意されたら同じだと。
結局名案というのは思いつかない。

117:2012/01/25(水) 05:00:35.06 ID:

翌日。
学校にいくと女子グループがニヤニヤしながら僕を見てくる。
まさか・・・と思いぶー子に目をやると
とぼけた様に舌をペロッとだし、
「メンゴww」
とか言いやがった。
電話の後、屠殺場へ送り込まなかったのは一生の不覚。

119:2012/01/25(水) 05:06:25.34 ID:

その後は女子に事あるごとに質問攻め。
ホントにおかしくなりそうになりながら一日を過ごした。

問題は放課後の事。
詳しく話を聞かせろと女子グループに連行される羽目に。

その様子をみて高笑いするぶー子。
殺意わくね。

120:2012/01/25(水) 05:10:39.77 ID:

豚ひでえええええ

121:2012/01/25(水) 05:13:28.12 ID:

強制連行後。
洗いざらい経緯を話すと
女子全員が応援してくれる事になった。
中には泣いて協力を申し出てくれる子もいた。

議題はどうやって太一を葬り有紀子を取り戻すかにシフト。

感想;女子の方が発想がエグイ。

122:2012/01/25(水) 05:17:41.59 ID:

「こうなると判ってたからwwww」
ぶー子が寄ってくる。
完全に後付けだろ。
だが、今まで周りに味方が居なかった中味方してくれる人が出来たのは嬉しかった。




123:2012/01/25(水) 05:24:54.35 ID:

とりあえず、ここで一旦切ります。(午前中出かけるので)
続きは今日のお昼2時ごろから書きたいとおもいます。

124:2012/01/25(水) 05:26:16.57 ID:

乙 なかなか楽しい 楽しみに待ってるよ ノ

137:2012/01/25(水) 14:27:26.96 ID:

ありがとうございます。

そんな訳でぶー子のアシスト的なもののお陰で僕に味方が出来た。
中でも、女子グループのリーダー格だった彩香は泣きながら共感してくれて
「私に出来ることは何でも言ってね!」
と、申し出てくれた。
「ぶひw私のお陰だろww感謝しろよwwあ、でも惚れるなよww私には心に決めた人がいるからwww」
ぶー子。こいつはやはりここで始末しておくべきか本気で悩んだ。

140:2012/01/25(水) 14:33:52.01 ID:

さて、時期は12月。
この時期、受験生は最後の追い込み期間である。
だが、一部の進学校を受ける生徒を除き、殆どが地元の高校に行く為、
実質、そこまで必死に受験勉強をしている生徒は少なかった。(高校はよっぽどがない限り、地元中学生は落ちない)

ある日、数学の自習時間。
彩香がある提案をしてきた。
「ねえ。有紀子とクリスマスにデートしない?」

143:2012/01/25(水) 14:37:49.44 ID:

「え?え?」
突然の提案を全く理解できない。
「だから。クリスマスに有紀子とデート。したいでしょ?」
それはもちろんだが、有紀子は今親戚の家に預けられている。
ここから行くには日帰りでは無理な距離だ。
「無理だよ。遠いし。」
そういうと、彩香がにっこり笑う。
「馬鹿ね。冬休みだから実家に帰ってくるでしょ?そこで誘えばいいじゃないw」

145:2012/01/25(水) 14:43:02.27 ID:

言われてみれば確かに。
年末年始は実家で過ごすはずだ。
冬休みの期間は有紀子は家に帰ってくる。
「・・・でもやっぱり無理だ。」
そう。僕は彼女に会う事を禁止されている。
村では僕は誘拐犯という事になっている。
今でこそ誤解だったと周囲はほとんど普通に接してくれているが、当時はまるでゴミをみる目で見られたものだ。
だが、有紀子の家の人間は今でも僕を誘拐犯だと言っている。
会いに行けるはずがない。

147:2012/01/25(水) 14:50:50.82 ID:

少しの期待感が一気に薄れる。
「鈍いわね~。私たちが有紀子誘って連れ出すからって言ってるの。ね?」
彩香がにこりと微笑みかけてきた。
この瞬間僕は神様はいると思った。
「ぶひww私も協力するんだから飯奢れよwww」
ぶー子が鼻をブヒブヒ鳴らしながらいう。
この瞬間悪魔もいると思った

149:2012/01/25(水) 14:54:48.84 ID:

ここからの彼女らの動きは速かった。
放課後、有紀子に連絡を取ると、作戦概要を伝える。
その後、週末に僕の村まで来て、有紀子の実家にクリスマスパーティの
案内を持っていき、許可をもらってくるという素晴らしい働きをしてくれた。
「感謝してよね~w」
彩香様。もちろんです。
有紀子いなかったら惚れてまうやろ。
「ぶひwwwチャーシューメン大盛りなww」
共食いか。

150:2012/01/25(水) 14:58:59.93 ID:

後は僕がクリスマスに外出許可をもらえば完璧だった。
が、思わぬ事態に。

「外出は許さない。クリスマスに一人で?なんで?」
「男友達とパーティ?クリスマスに?」
と滅多打ちに会い、理由なき外出は禁止と言われた。
以前の事件のせいで自分の外出は特に厳しく監視されていたのを忘れていた。

152:2012/01/25(水) 15:04:17.93 ID:

困り果てて彩香にその旨を打ち明ける。
「なんだ。理由があればいいんじゃん。私に任せて。」
と言うと、週末に我が家へ。
「私、今お付き合いさせて頂いてる彩香と申します。実は家のクリスマスパーティに是非彼を呼びたくて。」
と母にいった。
「話を合わせてね。」
と言われていたが、さすがにビビった。
「そ、そうなんだ。恥ずかしくて言えなかったんだけどw」
無理やり合わせる。
すると母は呆気にとられたように
「そ、そういう事ならいいわ。」
と外出許可を出した。

155:2012/01/25(水) 15:06:34.65 ID:

しかし、ここで一抹の不安が残る。

彩香の家に電話掛けられたらどうしよう。

という事だ。
流石にまずい。
この事を伝えると
「あw大丈夫wwうちのママもおねーちゃんも味方だからww」

本気で泣いた。

158:2012/01/25(水) 15:08:38.27 ID:

彩香みたいに子がたくさんいれば・・

160:2012/01/25(水) 15:12:37.33 ID:

さて、後は当日待つのみとなった。
毎日、早くクリスマスが来ないかとそわそわしていた。
家でもやけにテンションが高く、不審がられたが
彼女が出来たから
という理由で納得してもらえた。

そして当日。
街に出かけ彩香らに指定された場所で待つ。
約束の時間は午後2時。
時間が近づくと緊張してお腹が痛くなってる。

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