駆け落ちして田舎から逃げた話。 - 暇つぶしのゆいたんねる - 5ページ

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駆け落ちして田舎から逃げた話。

投稿日:2016年9月27日 更新日:


371:2012/01/25(水) 21:39:33.05 ID:

「よし。じゃあ俺が偵察してきてやるよ。」
そういうと将太は止めるのも聞かず、屋敷に入っていった。

見つかればタダじゃ済まない。
下手したら僕の計画もばれてしまう。

でも奴の真意も聞きたい。

不安で気分が悪くなりながら将太の帰りを待った。




376:2012/01/25(水) 21:48:08.53 ID:

30分程して将太が無事に戻ってきた。
「なんか、あいつがあの家に入る云々の話みたいだったぜ。
どうも奴と有紀子ちゃんの婚姻の日程が3月20日前後でとか」

どうやら、卒業後の予定の話だったらしい。
1年も先の話を今からするのはどうも本決まりのようだ。

「つうかあのおっさんやばいぜ。有紀子ちゃんの話が出るたびに明らかにニヤケてた。」
ゾッとした。
絶対あの野郎に有紀子は渡せない。

しかし、ふと気になった。
将太はどこからそれを盗み聞きしたのか。

「ん?空き部屋から屋根裏潜って。俺んち大工だからさww」
忍者かお前は。

380:2012/01/25(水) 21:52:34.75 ID:

そうこう話してると
太一(40)が屋敷からでてきた。
話は終わったらしい。
心なしか足取りが軽そうだ。

こちらへ向かってくる目を伏せ気味にすれ違おうとした。
その瞬間
「有紀子ぉ」
とつぶやくのが聞こえた。
パッと見ると嬉しそうに笑ってる。

この時。
今までに無い殺意が沸いてきた。
思わず、飛びかかろうとして将太に抑えられる。

381:2012/01/25(水) 21:56:41.37 ID:

「やめろ。ここでそんなんしても意味無いだろ!」
そうだ、意味はない。
僕にはやらなくちゃいけない事がある。
絶対奴に有紀子は渡さない。

「そうだ。お前は手を出しちゃダメだ。」
将太になだめられ冷静になった。

383:2012/01/25(水) 21:58:48.93 ID:

その事件後
有紀子の家に向かっていた太一(40)が足を踏み外し?
真冬の川に転落する事故が起きるのはまた別の話。

388:2012/01/25(水) 22:00:50.65 ID:

そして、僕らは高三になった。

駆け落ちの約束のリミットまであと1年。

395:2012/01/25(水) 22:09:17.93 ID:

この一年で何としても目標金額まで貯める。
クラスメイトは進学・就職ムードへ一直線だった。
彩香も大学受験で忙しくなっていたが、勉強の合間に協力を続けてくれた
将太は
「俺は親父の会社はいるからw」
とマイペースだった。
イベリ子は
・・・・・豚だった。

そして運命の転機が訪れる。

400:2012/01/25(水) 22:12:30.28 ID:

僕の高校は修学旅行が三年の春先にあった。
行先は九州。
九州各県を回る四泊五日の修学旅行。

その二日目の自由行動の日
将太に
「今日俺と一緒に回ろうぜw」
と誘われた。
もちろん断る理由などなかった。

408:2012/01/25(水) 22:16:50.92 ID:

僕は将太に連れられて市街地を歩く。
・・・どこにも観光出来そうな場所や買い物出来そうな場所はない。
どこに行くのだろうと思っていた時。
何かの事務所みたいな所にたどり着いた。
「えーっとここだw間違いないw」
そういうと将太は躊躇わずにビルに入って行く。
僕は慌てて追いかけた。

411:2012/01/25(水) 22:19:11.08 ID:

将太が受付?の様な所で人に話しかけている。
ここは何なんだろう・・と考えていると
「こちらへどうぞ。」
と待合室の様な所に通された。

しばらく待っていると
スーツを着た中年のおじさんが入ってきた。

412:2012/01/25(水) 22:22:39.09 ID:

「将太!よく来たな!」
そういうとその人は将太をギュッと抱く
「おじさん!久しぶりw」

どうやらこの人は将太の伯父らしい。
名を 中村 さんと言った。

「まぁ、座りなさい」
そういうと僕らをソファに促し腰をおろした。
「それで、電話で言ってた頼みとは何かな?」

413:2012/01/25(水) 22:26:04.52 ID:

どうやら将太は最初から伯父の中村さんに会いにここに来たらしい。
「修学旅行の小遣いでも貰いに来たか?はっはw」
中村さんが笑ったが、将太が一気に真面目な顔になった。
「伯父さん。お願いって言うのは、今日一緒に来たコイツの事なんだ。」
「伯父さん、卒業したら、こいつをココで働かせてやってくれないか?」
突然の事で僕は意味もわからずポカンとしていた。

419:2012/01/25(水) 22:30:16.44 ID:

「それは、何故かね?」
中村さんが将太と僕を交互にみる
「いや、働くかどうかはコイツ次第なんだけど、俺はコイツの力になってやりたいんだ。どうしても。
だから、こんなことしか思いつかなくてさ。」
将太の考えがわかった。
その瞬間涙が出てきた。
「甥っ子の頼みだ。私は構わないが何か理由がありそうだが?」

僕は事の一部始終を話す事にした。




420:2012/01/25(水) 22:32:08.60 ID:

将太、泣かすなよ

422:2012/01/25(水) 22:33:50.47 ID:

将太がいい奴すぎる

423:2012/01/25(水) 22:36:03.85 ID:

中村さんは静かに僕の話を聞いてその後
小さく頷き
「もしも君がその気なら私は君を歓迎するよ」
と言ってくれた。
「ただし、覚悟してきなさい。世の中は上手く渡れるようには出来ていない。」
とも。
「もしも、その時が来たらまた私を訪ねてきなさい。」
そういうと「頑張れ!」と僕の手を握った。

この時、僕は涙と鼻水でとてもひどい顔をしていた。
帰り際に受付のひとの不思議そうな顔で僕を見ていた。

431:2012/01/25(水) 22:42:08.66 ID:

これが僕の運命の天機だった。
この出会いによって、僕と有紀子の駆け落ち先というものが決まった。
最大のネックだと思っていた仕事が見つかっているのは非常に心強い。

後は作戦を成功させるだけだ。

僕は将太に何度もお礼を言った
けどそのたびに照れくさそうに笑いながら
「いいんだよw友達だろw」
といって恥ずかしそうにする。

ほんとうにありがとう

436:2012/01/25(水) 22:45:29.78 ID:

そしてその年の夏。
再び有紀子の帰省に合わせて会う計画をたてる。
今回はこれまでに決まった事を会わせて有紀子と最後の打ち合わせだ。

だが、更に問題が発生する
帰省した有紀子に太一(40)とデートしろとの婆から命令がでた。

444:2012/01/25(水) 22:53:12.20 ID:

しかも、その日は会う約束の日。
非常にまずい。
しかもあのは腐った鏡餅とデート?
ふざけるな。

当日が近づくにつれ打開策もないまま焦りはピークを迎えた。

445:2012/01/25(水) 22:56:19.60 ID:

どうしようもなくイライラし、何かに当たる事が多くなっていた。
将太や彩香もなにか良い方法が無いかと仲間と話し合ってくれていたが
良い案は出なかった。
そんな時。

「ぶふふっwww良い案www思いついたんですけどwww」
イベリ子が鼻息を荒げる

447:2012/01/25(水) 22:57:49.27 ID:

ピークとピッグを掛けているわけですね、わかります。

453:2012/01/25(水) 23:01:47.31 ID:

>>447

ピークとポークかもしれんわな

451:2012/01/25(水) 23:00:03.99 ID:

イベリ子「私を出荷しwwwて」

452:2012/01/25(水) 23:01:37.74 ID:

「ぶひww太一wwwwをデートwwwに行かないようにwwwすればいいっていうwwww」
こいつ。とうとう口蹄疫でも罹ったか殺処分だな。
「ぶwww太一を足止めしてwwwデートに間に合わないようにすればwwwいいww」
イベリ子が輝きだした。

463:2012/01/25(水) 23:07:06.32 ID:

「ぶひっひwww太一車持ってないwwwから移動手段バスwww
それに乗り遅れたらwww次のバスまで一時間はあるwwwもう無理ww」
豚足なアイデアだが良いかもしれない。
だが、問題は有紀子をどうするか。一緒にバスに乗ってきたらどうしようもないじゃないか。
「ふぉふぉwww有紀子はww午前中は私らと買い物www午後からデートww
にしてもらうwww完璧ww私孔明www」
孔明というか小梅の様な見た目だが良いアイデアだ。

このイベリ子案を採用することにした。

466:2012/01/25(水) 23:12:44.37 ID:

早速、有紀子に連絡をし
午前中は彩香たちとショッピングで午後から太一デートの流れに変更
して貰った。
元々、今回は4日しか帰省できない予定だった為、
「友達とも会いたいだろう」
と許可が下りた様子。
また怪しまれないよう、当日僕は午前中は村に居て出来るだけ多くの村人
に会うような形を取り、その後将太のアシストで街に向かうという完璧な
アリバイ計画を立てることになった。
因みにここまでがイベリ子の計画。

468:2012/01/25(水) 23:19:13.22 ID:

そして、当日。
僕は朝から起き、村中をぐるぐる回りながら川で釣りのフリをしていた。
この間すれ違った村人と細かく挨拶をする。
その時、犬の散歩をしていた有紀子の母親とすれちがった。
「あ、おはようございます。」
あの事件以来、ほぼ顔を合わす事が無かったので気まずい。
「あら、おはよう。今日はどこにも出かけないの?」
「はい。一日のんびり釣りでもしようかとw」
じっと観察されているような気分だったが
「そう。気をつけてね」
と言うと去ってしまった。

正直、生きた心地がしなかった。
おそらく、午前中の時間は有紀子と会っていると疑っていたんじゃないかと思う。




470:2012/01/25(水) 23:23:30.74 ID:

そうこうしてると、村のバス停に向かう塊が見えた。
太一(40)だ。
このクソ暑いのにスーツを着てフウフウいいながら歩いている。
汗をだらだら流し、すでに腋まわりと股ぐらがビショビショだった。

「間違ってもあんな奴を有紀子に近づけれるか!」
今すぐ飛び出して行きたい気持ちを抑えて様子を窺う。
すると太一の反対側から歩いてくる集団がみえた。

471:2012/01/25(水) 23:24:37.59 ID:

集団?親戚一同とか…?

473:2012/01/25(水) 23:27:46.07 ID:

彩香の友達の女子グループ(中学の時から応援してくれてる子たち)とイベリ子
だ。
それぞれが着飾り、華やかな集団だ。
モーニング娘。withイベリ子
そんな感じ。

479:2012/01/25(水) 23:32:24.35 ID:

でも結果いい嫁さんになるのはイベリ子みたいな女なんだぜ?

480:2012/01/25(水) 23:35:01.57 ID:

彼女らが、イベリ子のいっていた足止め要員。
彼女らは太一を見つけると駆け寄って行って太一を囲んだ。

「あのぉ~すみません~○○ってどこにあるんですかぁ~」
○○とは村の唯一の観光スポットの様なものだが、バス停から離れており、
そもそも、訪れる人などほとんどいない。
「私たちぃ~大学のサークルで調べに来たんですけどぉ~」
と言いながら太一に話しかけている
「え・・・えっと○○はそこの角をまがって・・」
太一どもりながら案内すると
「え~わかんない~」
と一斉コール
「ねぇ、連れてってくれませんかぁ?」
迫る彼女らを前にして太一の発汗量が半端なく上がっているのが見えた。

482:2012/01/25(水) 23:38:19.12 ID:

「で・・でも俺・・この後よ・・用事が・・」
太一は逃げ出した。
しかし回りこまれてしまった。
「え~お兄さん。案内してくださいよ~」
女は怖い。
あんな演技ができるのか・・・
「ぶふwwいいじゃないですかwww美女に囲まれてしあわせですぞwww」
お前は変わらんか。

483:2012/01/25(水) 23:40:59.53 ID:

美女に囲まれてww

お前が言うなwww

484:2012/01/25(水) 23:41:05.74 ID:

そうこうしている内にバスがバス停を通り過ぎるのが見えた。

「良し!良し!」
太一(40)の顔がみるみる青くなっていく。

完全勝利の瞬間だった。

486:2012/01/25(水) 23:44:26.85 ID:

バスが行くのを確認して彼女らも太一から離れる。
「もういいです。自分たちで行きますから~」
「え・・いや・・案内・・」
「結構です。」

豹変した彼女らは座り込んだ太一を残して去って行った。
イベリ子はなぜか太一の写真を撮ってた。

492:2012/01/25(水) 23:48:56.44 ID:

それを確認し僕は次の行動に移る。

村の境で待機していた将太のバイクの後ろに乗り込んだ。
「上手くいった?」
「おう。」
「じゃ、おとされんなよw」

そうして僕は有紀子の元へと向かった。

495:2012/01/25(水) 23:52:09.93 ID:

イベリ子いい味出してるわwww

豚だけに

497:2012/01/25(水) 23:53:34.53 ID:

予定通りに待ち合わせ場所に到着。
有紀子はすでに来ており、彩香と談笑しながら待っていた。
今回は時間が無い。
太一は足止めしたが、相手が来ないのに何時間も居るのは不自然。
寄って時間は2時間でその後、有紀子は帰宅するという事に。
イベリ子の作戦で唯一納得できなかったところだが
慎重に事を進めることにした。

505:2012/01/26(木) 00:00:06.00 ID:

近くの喫茶店に入る。
僕は全ての計画を打ち明けた。

駆け落ちの行先は九州。
そこで将太のお陰で働き先の目途も付いた事。
資金も少しずつ貯まっている事。
決行は3月18日(有紀子が親戚の所から引き揚げてくる日)にしようと思う事。

話し終わると有紀子は涙を浮かべて笑っていた
「私。すごく幸せ。どんな風になっても構わない」

そして有紀子を見送る。
もう決行の準備はすべて整った。

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