一つの村が消えた話をする
投稿日:2017年2月25日 更新日:
八月十五日 辿静祭当日 午前十一時
清めが終わった後、飯を食べ終わった俺とAは、神主一族の屋敷つまりAの家で寛いでいた。
Aが小屋に囚われる直前以来、俺はAと会話をしていない。
俺から話を切り出して見る事にした。
俺「あのさ、暇だから花札やろう?」
A「良いよ、こいこいね?」
俺「ああ!」
やっとまともな会話が出来た!。
この後花札をやりながら、昨日の夜、
つまり障芽池の森に入った時から、今日の清めが終わるまでの記憶が全く無かった事や、昼食を食べている時から、幽霊の様な存在が見える様になった事を聞いた。
小屋での記憶が無くとも、Aは心身ともに傷付けられたことには変わりない。
これを生涯の教訓にすると、AにそしてBに誓った。
Aは両親から、Bは家族と共に引っ越したと伝えられていた。
八月十五日 辿静祭当日 午後三時
神社の神楽殿の前に、神主によって村人全員に召集が掛けられた。
重要な話だそうだ。
俺とAも神楽殿の前に向かった。
神主「突然だが、今年の辿静祭を中止する。
ここまで用意をしてくれた皆には感謝するが、昨日から予想外の事が多発している。
鬼小屋絡みの件、B一族の逃亡の件、森の祠の中の霊石が破壊されていた件だ。
森の祠の件についてだが、私は昨日の朝、再封印の為に森の祠に行った。
その時は、森の祠の周囲の封印は破られておらず、霊石も破壊されてはいなかった。
今日の朝、森の祠に異常が無いか確認しに行くと、封印が破られており、祠の石、初代神主の霊石が破壊されていた。
破壊された霊石からは、微塵の霊力も感じ取れなかった事から、霊力を何者かが奪った後、あの霊石を破壊したと考えられる。
初代神主の霊石は、この村のあらゆる封印を支える力であり、封印の維持が不可能になった今、全ての封印は崩れ、封印されている存在が溢れ出し、この村には災厄が訪れる」
当然の如く村人は慌て始めた。
森の祠の霊石を破壊した犯人、村人は大声で言わないだけで、B一族の仕業だと気付いていた。
神主「今より、この村での全ての禁を廃止する。
我々一族は、この村を脱出する事を決断した。
今夜にもこの村を出ていく。
以上だ」
予想外の展開となった。
村に災厄?、俺は軽く混乱した。
昨日から色々な事があった。
だが、それは村全体に影響する事は無いと、心のどこかで思い込んでいた
しかし、思い返せば村に災厄が訪れる原因の全てが、俺の責任。
俺の家族はどうするのか、その事が頭を過った。
A「俺君の家族は、私の家族と一緒にホテルに移動するそうだよ」
俺「そうなのか!?」
A「お父さんと俺君のお父さんが話しているのを聞いてね」
俺「そっか」
何故か安堵した。
Aと一緒に居られる事からか、それとも村を出るからなのか。
この時の俺は、色々な思いが頭の中を回っていたように思う。
八月十五日 午後五時
神主の話から二時間が経った。
あの話を村人が聞いてから、村中は大騒ぎになっていた。
逃げ出す用意をする者、ここに残ると主張する者、揉める者、あちらこちらで見られた。
俺の家族は、Aの家族(神主一族)と共に俺の家族が運営するホテルへ一時的に移動する事となった。
学校も変わるそうだ。
A「村ともお別れだね」
俺「そうだな」
A「この村、どうなっちゃうのかな」
俺「俺にもどうなるかは分からない」
神主に俺が直接聞いた事によれば、
初代神主が残した、自分の霊力を封じ込めた霊石の力は、
本当の所は初代神主が死ぬ直前の年まで効力を発揮したが、死後、直ぐに効力は無くなってしまったらしい。
そこで初代神主の子孫達は、
辿静祭に関する禁を作り、その禁を恐れ、守ろうとする村人の念を、
何らかの方法で石に集める事で霊石と化し、
その霊力を核として村のあらゆる封印や結界を保っていたそうだ。
その霊石が破壊され、霊力が奪われた今、村に施された何百と言う封印や結界が徐々に崩壊しているらしく、全てが完全に崩壊するのは五日後の八月二十日。
完全に崩壊した時、村に留り続けてきた災厄が訪れると。
正直、この伝承のどこが真実なのか、未だに隠されている事があるように思ってならない。
神主は祠の封印が破られた件に関して、自分自身でも疑問があるらしい。
その疑問を纏めると、
まず祠の封印を破った者は、痕跡からして一人だそうだ。
B一族は祠の場所を知っている事は確かだったし、
霊石の破壊されていた周囲には多くの靴後が残っていた為、
霊石を破壊したのはB一族で間違いない。
だが、祠の周囲に施された封印を解くには、
例え祠の場所が分かっていたとして、そこに行ったとしても、
「近づいた者の生気を欠く封印」の前では無力になり、どうしても祠に近寄る事は出来ない。
代々の神主は、この封印が弱まった所を修復しに行く為、弱まっている封印の前である方法を使う事によって、何とか再封印が可能となる。
霊石が破壊されたのは、神主が再封印をした直後なので、
弱まるも何も万全な状態だ。
要約すると、
人には祠の封印は破れないが、人外の存在ならば封印を破り、B一族を祠の中へ通す事が出来る。
俺は胸騒ぎを感じていた、何か忘れてはいないかと。
八月十五日 午後七時
俺とAの一族を乗せた専用の車両が村を離れた。
同時に、両一族の重要な物や必要な物を乗せた大型車両も村を出た。
俺「何か忘れているような気がする、こんな結末になる最初の段階の当たりで、何か気付いていなかったか?」
と心の中で呟いた。
A「何か忘れ者?」
俺「嫌、気のせいだったみたい」
俺はあまり思いつめないようにした。
そして俺とAは、村を後にした。
俺とAの両一族が村を脱出した所で、大方の本編は終わりです。
ここからは後日談となります。
質問がある方は、遠慮無くどうぞです。
用事があるので、暫く席を外します。
数分~数十分後に戻って来ます。
このスレの村とは関係ないけど、
「つけびして 煙り喜ぶ 田舎者」ってのあったじゃん?
ああいう集落って、部外者が知るよしもない謎が潜んでそうだよね。
そういうのが、日本各地で他にもありそう…
>>98
俺が知っているなかでも、実際に危険な謎がある村は十数村ある。
G県の下の方の旧村とか、知っている人いたりしますかね。
最初から全部見たけど、確かに信じられない話だね
僕はまぁ信じるんだけど、やっぱ言い伝えとかは下手に破らないほうが良いみたいだね
>>100
信じてくれる人がいるだけで、とてもありがたいです。
田舎には、いろんな謎や危険な言い伝えがあるので、破るのは確かに良くないですね。
後日談語ります。
後日談 八月十六日 午前八時
俺はホテルでAと花札をしていた。
俺「 (´?????`)こいこい!」
A「( ´´?∀´?` ) 」
俺「( ´?` ) こいこい!」
A「( ・?ω・?)」
俺「(?? ⌒ ??????? ⌒ ??) ニゴッ こいこい!」
A「(p>□<q*))俺君!! 」
俺「キタ━ヽ(∀゚ )人(゚∀゚)人( ゚∀)人(∀゚ )人(゚∀゚)人( ゚∀)ノ━!!」
俺「五光だ!!」
A「。・゜・(/Д`)・゜・。うわぁぁぁぁん 」
俺「俺の勝ちだね(。?????) wwwww」
A「見てよ!!!」
A「ほら!!四光!!」
俺「(´、ゝ`)ニヤリ 速く出さないAが悪いのさ}
俺「wwwwwwww」
A「( ´Д⊂ヽエーーン 」
今日は五光を出せるなんて、何か付いてる!って思いながら、Aと楽しく花札をしていた。