292:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/08(木) 02:48:11.36ID:sDW+XZlQ0
まぁ、車の中はそんな感じで特に何もなかった
佐倉先生の運転してる様子がやけに一生懸命で可愛かったとか、高速で届かなくて大変だったとか
出来事と言えばそのくらいだ
なんだかんだで佐倉先生としか会話しないまま車は長野に到着した
都会のゴミゴミした空気とは違い空気が澄んでいるよう気がして、急に気持ちまで大きくなって
佐倉先生の事をさくちゃんて呼んできた、当然すねを蹴られた
田村さんに聞いたのだが、二年女子の間では佐倉先生はさくちゃんとよばれているらしい
290:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/08(木) 02:44:49.01ID:nTh6IdQtO
入院先の病室から保守
299:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/08(木) 02:56:58.54ID:sDW+XZlQ0
合宿所はコテージみたいな感じだった
中に入ると少し埃っぽくて止まるには少しあれな感じだった
そこでお昼も近いこともあり登板を決めて掃除と買い出しをすることになった
話しあった結果女の子に買い出しに行かせるのは危ないと俺と吉井が買い物に行くことになり
その他のメンバーで合宿所を掃除することになった
お店がある所まで徒歩で片道二十分、吉井がいることを考えると四十分はかかると思われた
佐倉先生が車を出せば早いのではと提案したが「疲れた」と言われた
疲れたなら仕方がない俺はそう思った、この頃には俺は佐倉先生の言うことなら大体許す程度には佐倉先生との上手い付き合い方を身につけていた
かくして、デブを引き連れての従軍が始まった
302:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/08(木) 02:58:12.07ID:BlfgAZ9S0
面白いな
>>1はいい奴っぽいのになぜ友達いないんだろ
306:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/08(木) 03:01:06.99ID:Dc5SpfFNi
誰か吉井にツッコんでやれ
307:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/08(木) 03:02:25.99ID:qJ+B9MUE0
吉井は女の子じゃねえのかよww
308:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/08(木) 03:03:07.88ID:sDW+XZlQ0
歩き始めてしばらく、俺と吉井は一言も会話をしなかった
特に会話の内容も思いつかなかったし吉井と仲良くしたいとも思っていなかったからだ
意外だったのは吉井が案外テキパキと軽快な足取りで歩くことだった、額からは滝のような汗を流しているし
ワンピースも少し透けてて見苦しいのだが、吉井はペースを落とすことなく俺の歩くペースについてきていた
普段なら吉井に気を使うことなんてしないのだが俺は思わず吉井に話しかけていた
314:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/08(木) 03:08:11.42ID:sDW+XZlQ0
「なぁ、もしかして無理してる?」
俺のいきなりの問いかけに吉井はフゴっとびっくりしたのか鼻を鳴らした
「いや、汗すごいしきついなら少し休憩する?」
立ち止まると吉井はさらに凄い量の汗を垂らしたので、俺は少しびっくりしてつい優しく接してしまった
「ず、ずごじだげ!!」
なんかもう吉井も必死だったので俺たちか木陰に行き休憩することにした
316:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/08(木) 03:12:22.26ID:NHx2rRKS0
おいおい!穏やかじゃないねえ!!
317:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/08(木) 03:13:02.95ID:sDW+XZlQ0
木陰にいくと凄い音を立てながら吉井が草の絨毯の上に腰をおろしていた
あまりに汗が凄かったので、俺はまだ開けていない水のペットボトルを吉井に渡した
水を受け取ると吉井はお礼を言い水を貪るように飲みほした、俺はなんだか申し訳がない気持ちになって吉井にペースを提げて歩く提案をし
それからはなるべく吉井に話しかけるようにした
319:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/08(木) 03:18:22.82ID:sDW+XZlQ0
吉井は話してみると以外と面白い奴だった
なんというか、吉井はデブはデブでも好かれるデブのようだった
俺が驚いたのは吉井が自分はデブであることを自覚していて、デブであることを陽気に話してくる明るい人間だったことだ
こいつ生まれる国が違えばもてたのかもしれないなとか考えるぐらいには吉井の事を見なおした、デブだけど
買い物を済ませ往復する頃には吉井とも大分打ち解けたように思えた
そして、もうじきコテージにつくと思われた頃吉井が自分の事を話し始めた
321:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/08(木) 03:21:34.95ID:PSpDtOWn0
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.... ..: : :: :: :::: ::::::: :::::::::::/彡<_`;):::::::: 高校生に戻りたい…
Λ_Λ . . . . . / :::/ ⌒i :: ::::::::: :::::::::::::::::::::::::::::
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 ̄ ̄ ̄(_,ノ.  ̄ ̄| FMV |_ (u ⊃
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325:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/08(木) 03:26:38.78ID:sDW+XZlQ0
小中と友達はいたけど体型のことでいじめにあっていたこと、自分に自信が持てなくて学校でもあまり自分を出していけないことなど
吉井は人には言いにくい内容を俺に話してくれた
それから俺の事を普段誰とも喋ってないから不良なのかと思ってたと笑いながら言った
そんな俺の目に吉井はやけに輝いて写った
多少の違いはあれど似た境遇にも関わらず、笑顔で笑いながら人と関わっていく吉井を見て自分がひどく小さい人間に思えた
また泣きたかったけど吉井がいるから泣くのだけは我慢した
330:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/08(木) 03:29:00.49ID:NHx2rRKS0
これは吉井ルートなのか・・・?
そして>>1は優しい人間なんだな
331:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/08(木) 03:29:09.07ID:LGOoSyXxO
吉井は人の痛みが分かる子
332:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/08(木) 03:29:19.03ID:BlfgAZ9S0
吉井いい子だな
336:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/08(木) 03:32:36.58ID:XWT46leS0
今21、身長は当時は170位で体重は痩せてた
338:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/08(木) 03:36:34.27ID:sDW+XZlQ0
コテージにつくと佐倉先生たちはまだ掃除をしていた、どうやら掃除の担当を決めていて取り組んでいたらしいが案の定佐倉先生の持ち場の進みが遅いらしかった
仕方ないので佐倉先生の持ち場を手伝いに行くと、先生は「どうだった、どうだった?」
とまるで中学生みたいなお出迎えをしてくれたので俺の涙は引っ込んで佐倉先生に呆れてしまった
それから皆で掃除を済ませ、買ってきた食材を吉井と死神が先頭に立ち料理して皆で食べた
食べた後、佐倉先生は一人でお昼寝をしてしまった
俺たちは持ち寄った遊び用具の中から俺の人生ゲームを選んで静かに楽しんだ
長野なのにやってることは普段の天文部とあんまり変わらなくて少し笑った
348:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/08(木) 03:46:32.95ID:sDW+XZlQ0
夕方になると佐倉先生も目を覚まし皆で夕ご飯のカレーを作ることにした
佐倉先生のこだわりでご飯は飯盒炊飯にしたんだけど、当番の佐倉先生がやり方を知らず
ぼっちな俺も過去の学校での知識が全くないため天文部二人組は大人しくテレビを見て待っていることになった
佐倉先生は「あんなもん大人になりゃつかわねーよ」と言っていたが失敗して少し気を落としていたのを俺は見落としていない
先生が落ち込むのは初めて見たけど、カレーを食べる頃にはすっかり機嫌が直っていたので単純あ人だなーと思いあんまり深く考えるのをやめた
カレーは普通に上手かった
350:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/08(木) 03:48:40.07ID:rxjv421P0
さくちゃんカワユス
351:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/08(木) 03:48:49.09ID:gCuZCSRk0
青春の味すな~
356:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/08(木) 03:51:09.68ID:sDW+XZlQ0
夜になると天文部として初めて天文部らしいと言える活動、天体観測をした
天体観測といっても地面に川の字になって横になり皆で星を見ただけなのだが
何というか都会のゴミゴミした空とは違い、広い空で見る星は格別だった
先生も吉井も田村さんもその他も、みんな声を静かに空を見上げてでも楽しそうに星を見ていた
なんか、青春してるって思った
358:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/08(木) 03:52:40.87ID:gCuZCSRk0
正直行って、濁りきったVIPでこんな清々しい話を聞く事になるとは思わなんだ
359:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/08(木) 03:53:21.30ID:XWT46leS0
友達がいないからこそ、こういう特殊な青春が遅れるんだろうな。自分は高校時代はオタク趣味と小説執筆だけに心血を注いでいたけど
361:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/08(木) 03:55:34.77ID:sDW+XZlQ0
初日で疲れていることもあり、第一回天文部天体観測は一時間程度で幕を閉じた
合宿所に戻ると、俺は一応用意してきた活動日誌に教の活動を記録し風呂に入って寝た
女性陣達はなにやらガールズトークに華を咲かせているみたいであったが、俺は無理はしないタイプなので突入などは特にせず
紳士的に女の子の話声に耳を傾けながら眠りについた
364:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/08(木) 03:57:02.56ID:usrW0nhp0
ソロ充とはまさにこのこと
368:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/08(木) 04:01:17.93ID:sDW+XZlQ0
朝、目が覚めると時計の針はまだ五時の周辺をさしていた
今までは気がつかなかったが俺はどうやら修学旅行はワクワクしてしまうタイプらしいことが分かった
二度寝はどうにもできそうになかったので外に出て散歩することにすると、外に田村さんがいた
どうやら田村さんもワクワクしてしまうタイプの人間だったらしい
改めて思い返すと、田村さんとはあいさつする程度の仲でしかないので急に緊張してしまった
お互い特に会話がないまま朝を迎え田村さんはそそくさと合宿所に戻って行った
俺は少し泣いた
369:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/08(木) 04:01:49.37ID:+tYsl7zN0
かわいそう…
371:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/08(木) 04:05:58.49ID:sDW+XZlQ0
朝になるとしっかり者の女の子たちが続々とリビングに集まってきた
寝巻のせいか吉井や死神にまで少しドキドキしたのは秘密だ
田村さんとは相変わらず気まずかったけどあちらは気にしていないようで笑顔をこちらに向けてくれた
佐倉先生は当然として起きてこなかったので電話を執拗にかけ続けてみた
しばらくして起きてきた佐倉先生に蹴られたのはいうまでもない