632: 名も無き被検体774号+:2012/01/16(月) 20:08:00.51 ID:iBjEHxqbi
これは悲しい
636: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/16(月) 20:10:30.84 ID:x9+/iUde0
電車、特急列車。
俺の地元にむかう電車だった。
俺の地元までは特急で2時間くらいだった。
彼女「わーなんか旅って気がしてきました!」
俺「楽しいよねー」
彼女はそそくさと売店に向かった。
そしてじゃがりこを買ってきてドヤ顔で俺に見せつける。
彼女「旅っつったらこれでしょ!」
俺「車内販売もあるんだけどねぇ」
彼女「マジか!」
642: 名も無き被検体774号+:2012/01/16(月) 20:18:20.68 ID:Za6OG5J70
昨日はロード的な脳内BGMだったが
今はセカチューの主題歌的なのが脳内で止まらない;;
769: 名も無き被検体774号+:2012/01/16(月) 23:36:07.59 ID:maqFtoVji
>>642
ロードぴったりだな
http://www.youtube.com/watch?v=mt1BMGlhpuI
645: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/16(月) 20:23:21.17 ID:x9+/iUde0
特急に乗る。
最初こそ彼女は特急ってすげえ駅すっとばすよね!
とか言って元気だったんだけど、そのうち疲れちゃったのか、
しばらくするとすっかり眠ってしまった。
俺は、しばらく静かな時間を過ごすことになる。
よこの彼女を見ると、色々と、思うものがあった。
648: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/16(月) 20:26:22.58 ID:x9+/iUde0
少し油断すると、こんな日がずっと続くと錯覚してしまう。
この三日間が終わった先にはどんなことが待っているのか…
考えたくなくても、嫌でも脳裏をよぎった。
ここで、俺は本当に泣きそうになる。
そして彼女に分からないように泣いてしまった。
特急の指定席で、一人で号泣した。
どうしてだったか分からないけど、すごく悲しかった。
649: 名も無き被検体774号+:2012/01/16(月) 20:27:38.19 ID:WvOioCSV0
寝顔ってずるいよな
651: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/16(月) 20:34:25.78 ID:x9+/iUde0
こんなんではいけない。俺は、思いついた。今だ、と。
寝ている彼女の首に、気付かれないように、プレゼントのネックレスを巻こうと思った。
窓によりかかっていたので、すきまがあってた。
起こしてしまうかハラハラしつつも、どうにかこうにか彼女にネックレスを
つけることができた。
ビックリするかな。俺は不安と期待でドキドキした。
652: 名も無き被検体774号+:2012/01/16(月) 20:36:16.27 ID:QCtubbcK0
うわ、いいなー
微笑ましい
654: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/16(月) 20:37:23.72 ID:x9+/iUde0
駅に着くまで彼女は熟睡していた。
ここまで上手くいくと思わなかったけど、しかしよく寝ていた。疲れたんだろう。
駅に着くアナウンスが流れる。
俺「さ、着いたよ。起きて起きて。」
彼女「え、あ…」
寝ぼけている彼女の手を引いて、俺は彼女を誘導した。
655: 名も無き被検体774号+:2012/01/16(月) 20:40:00.21 ID:cOF2U+4D0
これは・・・>>1ナイス!!!
656: 名も無き被検体774号+:2012/01/16(月) 20:40:05.66 ID:2apkvwPH0
イケメンだな>>1
662: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/16(月) 20:42:26.71 ID:x9+/iUde0
ホームに降りると辺りは暗くなり始めていて、宵の口と言ったところだった。
彼女は降りると、う~んと伸びをして「よく寝た」とつぶやいた。
俺はドキドキだった。
彼女「わ!なにこれ…ネックレス?富澤?」
俺は「魔法だよ、きっと」と言うつもりだった。でも、
俺「誰かのいたずらか…?」
意味が分からないw
664: 名も無き被検体774号+:2012/01/16(月) 20:43:55.56 ID:cOF2U+4D0
>>662
おい。そこは魔法だろおぉぉおっぉ
665: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/16(月) 20:45:54.81 ID:x9+/iUde0
かっこいいこと言おうとしたのに、彼女にこっちを見られると恥ずかしくなって
ついついおかしなことを言ってしまう。
彼女「えーww富澤でしょーwこれ可愛いなー。」
俺「うん…プレゼントだよ。すっごい似合ってる。」
本当に似合ってた。自分の選んだネックレスをつけている姿が、
とっても、微笑ましかった。
667: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/16(月) 20:50:32.37 ID:x9+/iUde0
瞬間、彼女は俺に抱きついてきた。
俺はビックリして心臓飛び出るかと思った。
俺「ぅお…!」ビックリして、変な言葉が出る。
彼女「ありがとう。絶対絶対、大事にするよ。」
勇気を絞って、俺も抱きしめた。
思えば、人生で始めて女の子を抱きしめた瞬間だったと思う。
とっても暖かくて、大事なものだって気がした。
673: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/16(月) 20:56:02.63 ID:x9+/iUde0
高校時代毎日使っていた見慣れた駅のホームの真ん中で、
俺は確かに人の温かみを感じた。
人なんてほとんどいなくて、駅のホームには俺と彼女だけだった。
向いのホームに高校生がいたが。
しばらくその状態で、彼女がいきなり
「充電完了だー!」
と大声をあげるものだから、ぱっと手を離した。
675:名も無き被検体774号+:2012/01/16(月) 20:56:30.31 ID:cHxXWezS0
花言葉は永遠の◯◯◯
677: 名も無き被検体774号+:2012/01/16(月) 20:57:23.09 ID:cOF2U+4D0
>>675
おっとそれ以上はやめてもらおうか。
678: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/16(月) 20:59:56.61 ID:x9+/iUde0
改札をくぐる、なんだか照れくさくなっちゃって俺はぎこちない。
でも彼女はそんなのおかまいなしで、
「ほらら~らら~らら~♪」(聖剣LOMのドミナの曲)などと鼻歌を歌う始末。
ご機嫌だったんだろう。彼女は普段からよく歌う子だった。
それ、聖剣だね!なんていつものように俺もつっこめず、
駅を抜けるとそこには迎えが待っていた。
680: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/16(月) 21:01:14.81 ID:x9+/iUde0
ちょいと失礼。
晩飯を作ってきますゆえ、しばし離れます。
30~40分で復帰しますね。
682: 名も無き被検体774号+:2012/01/16(月) 21:02:09.77 ID:N8PdPWCf0
終わりが気になるけどゆっくり見ていたい。
696: 忍法帖【Lv=9,xxxP】 :2012/01/16(月) 21:42:00.44 ID:6WQpxTh+0
そろそろか
697: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/16(月) 21:43:36.77 ID:x9+/iUde0
ごめんなさい。お待たせいたしました。
また一服しつつゆったりと再開したいと思います。
701: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/16(月) 21:54:02.83 ID:x9+/iUde0
迎えに来ていたのは、妹だった。
車で迎えにきてくれた。
「なんでアイツなんだよ…」
と思ったが、結果母親が来てもあまり変わらないので同じだった。
俺は彼女の荷物をずっと代わりに持っていたので、積みこむ。
俺「ごくろーさん」
妹「いえいえ」
彼女「こんにちは、わざわざありがとうございます。」
妹「こんにちはー」
妹は明らかにニヤニヤしていた。
705: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/16(月) 22:00:44.01 ID:x9+/iUde0
妹「可愛いなー。同級生ー?」
俺「お前よりずっと年上だから」
彼女「いえ、全然気にせず接してくださいねw」
妹「こんな兄だけどよろしくお願いしますねー」
車内は女社会と化していたが、非常に和やかなムードで、
妹と彼女も気が合いそうな感じで俺は安心した。
709: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/16(月) 22:08:33.88 ID:x9+/iUde0
車で坂をのぼる。
俺の実家はちょっと坂の上にある。
店がまったくないわけでもなく、いい感じの田舎だ。
家につくと、待ち構えていたように母さんが出てくる。
「いらっしゃい!遠くからお疲れ様」
彼女「いえいえ、よろしくお願いします。」
彼女は、こういうところで礼儀正しくて、当然のことながら少し驚いた。
気のせいか、母さんも妹も、よそよそしくて、落ち着かない感じだった。
無理もない。ダメ息子が急にこんな女の子を連れてきたら、
面食らうってもんだろう。
711: 名も無き被検体774号+:2012/01/16(月) 22:10:31.76 ID:c7UXEoRe0
なんかこんなほのぼのした話を聞いてたら
すごくエンディングを聞くのが怖くなった。
713: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/16(月) 22:15:03.82 ID:x9+/iUde0
母さんと妹はまだ晩飯の準備中だったらしく、
彼女は手伝いたい、と言った。
俺は疲れてるんだから無理しないで、と言ったが、
どうしてもと言ってきかなかった。
俺「母さんエプロンあったっけ?」
母「あれがあったわよアンタのが」
彼女は俺が高校の家庭科で使っていたエプロンを身にまとった。
「どうかな?w」
恥ずかしそうにエプロンを着て彼女は言う。
俺「いいねー最高だよ。」
720: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/16(月) 22:21:34.63 ID:x9+/iUde0
その様子を見て母さんと妹が俺の方を見て不自然にニヤニヤする。
俺は「ほっとけ!!」と心の中で連呼した。
彼女も台所についてできることを一生懸命手伝っていた。
うちの家族に混ざって、楽しそうだった。
俺はそれを横目に見つつ勝手口の裏口で一服していた。
俺も手伝おうとはしたが、アンタ失敗するから、と妹に阻止された。
723: 忍法帖【Lv=2,xxxP】 :2012/01/16(月) 22:26:22.87 ID:JxN1HClsi
なんてほっこりすんだ!
うらやましー
724: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/16(月) 22:28:36.27 ID:x9+/iUde0
その日は、カレーだった。
ウチのカレーはレトルトは使わず、スパイスとかも使って、
無意味に凝っているものだった。
みんなで食卓に着く。
俺は若干の気まずさを隠しきれなかったw
彼女「こんなに本格的なカレー、おうちで作れちゃうんですね~」
母「まーこだわりだすとキリがないのよね」
母さんは鼻高々だった。
725: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/16(月) 22:30:35.15 ID:x9+/iUde0
彼女「おいしい!美味ですよこれ!」
彼女が笑ってそういうとみな口々においしいと言い出した。
俺「うん、やっぱりおいしいね。」
妹「たしかに美味、だねw」
ご飯が進みだすと、妹と母さんが動き出す。
728: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/16(月) 22:35:55.72 ID:x9+/iUde0
母さんは、「うちの息子の何がよかったの~?」
とか笑いながら聞き出すし、
妹は妹で、彼女がオタ気質であることを知ると、
途端に自分の好きな漫画とかの話を振りだす。
彼女は彼女で、「わたし一発芸とかできるんです」とか
ワケの分からないことを言い出すし、そうするとうちの妹も悪ノリしだすし、
色々とてんやわんやなんだけど、楽しかったよ。
初めて食卓を共にしたのに。
729: 名も無き被検体774号+:2012/01/16(月) 22:37:16.93 ID:qqaCxJ9bO
幸せ過ぎて逆にツラい・・・
734: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/16(月) 22:42:02.65 ID:x9+/iUde0
そのあとも、妹が「今日は面白いテレビやってないから」と
言い出してアメトークのDVDを見だしたりした。
妹は終始馬鹿笑いしていて、
彼女も「正気ですか!?」とかケンコバのものまねを始めだして、
母さんがなんか果物食べる?と聞けば
彼女は味をしめて「正気ですか!?」と返したり、
いや、楽しかったんだよ。本当に。
737: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/16(月) 22:48:51.19 ID:x9+/iUde0
夜も更けて、そろそろ寝る体制に入る。
彼女は、俺のベッドに寝かせてあげた。疲れてるだろうし、明日もあるし、
なにより体調を崩さないかすごく心配だったので、俺たちは早めに寝ることにした。
俺は毛布をしいて、床で寝ることにした。明日も、ある。明後日も。
明後日も、終わったら、その次は…?
夜になると途端に辛くなる。
部屋で二人になると彼女に言われた。
彼女「今日はすごく楽しかった。本当楽しかった。」
かみしめるように言う。
739: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/16(月) 22:52:19.64 ID:x9+/iUde0
彼女と日常を共にしていると、あの病室に帰ることが途端におぞましく思えた。
でも、彼女はもっと、ずっと、帰りたくないんだろう。
俺は彼女に「楽しかったよ。今日は疲れたし、早く寝よう。」
とだけ言ってから、ずっと考え込んでいた。
母と妹に、病気のことを言ってないのが辛かった。
正直、俺も誰かに相談したくてしょうがなかった。
740: 名も無き被検体774号+:2012/01/16(月) 22:54:20.22 ID:TpERXDKCi
彼女の噛みしめるような言葉…
切なすぎる…
742: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/16(月) 22:56:02.95 ID:x9+/iUde0
彼女も寝て、妹たちも部屋にいるのを確認してから、俺は勝手口に一服しに行った。
電話をかける決心をした。
親父に電話をかけた。
俺はもう、誰かに話さないとどうしょうもなく辛くなっていた。
750: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/16(月) 23:12:40.62 ID:x9+/iUde0
親父「おう、どうしたー?」
俺「遅くにすまん、実は…」
俺は、彼女のこと、彼女の病気のこと、今すごく不安なこと、
すべてを親父に赤裸々に離した。
男同士で、話したかった。聞いて欲しかった。
親父は多くは語らなかった。そして、俺に言った。
「絶対、最後までそばにいてあげろよ。つらいと思う。
でもお前が弱音吐いちゃだめだろ。
いつだってそばにいてあげろ、男と男の約束だ。」
752: 名も無き被検体774号+:2012/01/16(月) 23:14:09.91 ID:xGHrZAy10
親父…
754: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/16(月) 23:15:02.31 ID:x9+/iUde0
親父は古風で、頑固な人間だった。
そんな親父の言葉は、俺の胸に強く響いた。
絶対に最後まで一緒にいよう。何が待ってるか、分からないけど。
青臭い小僧の俺が一人でずっと抱えていたことが、
親父に話したことで、とても軽くなった気がした。
757: 名も無き被検体774号+:2012/01/16(月) 23:19:42.78 ID:1T5A/N4b0
親父でかいな
758: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/16(月) 23:20:48.60 ID:x9+/iUde0
俺は親父に話して、すっきりした。
部屋にもどると、さっきまでの不安が嘘のように、スムーズに眠りに落ちた。
気付くと、窓から明かりがさしていた。
実家の俺の部屋は一つの窓にカーテンがなく、朝日は入り放題なのである。
起きると、彼女は俺の机で何かをしているようだった。
俺は寝ぼけていて、状況を読み込めず、目覚めて彼女がいること自体に驚いた。
762: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/16(月) 23:26:24.63 ID:x9+/iUde0
朝飯を食べて、いざ出かけよう、となる。
前々から話していたが、彼女はとりあえず俺の育った町や場所を見て回りたいのだという。
俺は本当に楽しいのだろうか、と若干の不安があったが、
彼女がやっぱりどうしても、というのでそうすることにした。
彼女「今日は一日動きまわるねー!」
俺「無理しちゃダメだかんね。」
俺はさっそく車のキーを握って車をだそうとした。
766: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/16(月) 23:30:52.43 ID:x9+/iUde0
すると彼女は珍しくぐずった。
俺はよく分からなくて、車乗らないの?と聞く。
彼女「自転車、あるよね…?自転車乗りたい」
俺「あ、そうなんだ。でも2台あったっけなー?」
彼女「そうじゃなくて。二人乗り…しようよ。」
俺「え?」
彼女「ずっとしてみたかったんだ…二人乗り」
767: 名も無き被検体774号+:2012/01/16(月) 23:34:02.75 ID:CCqLDcq10
もうダメだ・・・
モニタが見えねえ
768: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/16(月) 23:34:49.85 ID:x9+/iUde0
俺「だめだよ、あぶないし、体に負担かかって疲れちゃうよ…」
彼女「わたし一度も二人乗りってしたことないんだよ…」
そう言われると、弱い。
かくいう俺も人生で一度も二人乗りをしたことがなかった。
だから怖い、ということもあったのだが。
俺「分かったよ。じゃあすぐ近くの俺の小学校まで、だけね。」
彼女「やったー!じゃあグローブ持ってこうよ!」
笑顔になってはしゃぎだすのを見ていると、仕方ないかって思えた。
774: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/16(月) 23:40:03.70 ID:x9+/iUde0
彼女は「どう座るんだ?」ってつぶやきながら荷台にちょこんと座って笑った。
俺「それでいいんじゃないかなw
よし、じゃあ俺が乗るから一回降りて」
彼女「やったー!」
荷台に乗せて気付いたが、彼女は嘘のように軽かった。
家を出て、ろくに車も通らない農道のような坂道を下っていく。
彼女は、とてもごきげんだった。
781:1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/16(月) 23:50:21.01 ID:x9+/iUde0
彼女は歌い出した。
「かーみーさーまー!ひとつきいてくれよー!」
それは彼女が好きだった藍坊主のテールランプだった。
俺も楽しくなって、一緒に歌う。
「かーぜーきるー!あしをーぼくにくれよー!」
はたから見たら馬鹿丸出しなんだけど、
もう、どうでも良かった。
786: 名も無き被検体774号+:2012/01/16(月) 23:55:40.19 ID:x54nf88mi
想像したらなんか微笑ましいのにすげえ切ない
787: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/16(月) 23:55:54.10 ID:x9+/iUde0
彼女はごきげんだった。色んな歌を俺に歌ってみせてくれた。
彼女は歌い終わると、
彼女「こら、拍手しろ!」
俺「どうやってすんだよww」
このやりとりを数回に渡って繰り返したw
805: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/17(火) 00:12:11.95 ID:WJObiXhX0
そんなこんなで、近所の俺の母校の小学校に着いた。
土曜だったので、がらんとしていた。
少年野球のチームが、練習している以外、校庭もほかに人はいない。
俺「懐かしいなあ~。ここでよく、野球したんだー」
彼女「そうなんだー。すごい広いね…」
無駄に校庭だけは広い小学校だった。
807: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/17(火) 00:18:52.97 ID:WJObiXhX0
彼女は少女のごとく駈け出した。
思いっきり走りだしたもんだから、印象的だった。
あまり息上がるのもよくないのにね…。
彼女「こっちに来て!」
彼女「これ、うんていだよ、なつかしーw」
彼女は無邪気に色んな遊具で遊びはじめた。
彼女は滑り台の階段を上がって、俺が登ると滑り降りた。
彼女「無限ループだ!」
俺「そうなの?w」
こんな調子だった。
809: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/17(火) 00:21:52.50 ID:WJObiXhX0
俺たちは何故か滑り台の無限ループがツボに入ってしまい、
いい年してしばらくそこで笑いながら滑り台に興じた。
俺「いつまで経っても捕まらないww」
彼女「はやく追いついてww」
こんな繰り返しだった。
818: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/17(火) 00:29:48.04 ID:WJObiXhX0
しばらくすると冷静になって二人して、
「え、これ何が面白かったの?」的な感じになった。
遠くから少年野球の声が聞こえる。
彼女「ねえ、あの少年野球にいたの?」
俺「うん、懐かしい。もうずっと前のことだけどね。」
彼女はしばらくぼーっと駆けまわる少年たちを見つめていた。
彼女「キャッチボールしよう。」
俺「大丈夫?無理しないでね。」
彼女はまた歌い出す。
「べーすぼーるのおとが鳴ったー、だれもぎゃらりーいないぐらうんどーってね。」
俺「何それ?」
彼女「知らないの?」
彼女は音楽の造詣も深くて、たまに俺の知らない曲も歌う。
そうするとちょっとぐずるんだけど、そういう時は決まって
すぐiPodとかで教えてくれる。
822: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/17(火) 00:35:54.74 ID:WJObiXhX0
その曲はフジファブリックのベースボールは終わらないだった。
「フジファブリックか…」
その日はその曲にピッタリだった。
晴れ渡っていて、広いグランドに二人だけ。
俺はその曲に則って、「あとで炭酸飲料を買いに行こう。」
というと、彼女はやたら喜んだ。
「いくよ!」
俺がボールを投げると、彼女はしっかりキャッチ。
そしてイイ感じに返してくる。運動神経がよかったのか、
昔からあまり運動が得意でない俺はちょっとだけうらやましくもあり、楽しくなった。
842: 名も無き被検体774号+:2012/01/17(火) 00:49:22.42 ID:S6f45hHq0
追い付いた。
>>1はなんて優しい文章が書けるんだろう
843: 忍法帖【Lv=2,xxxP】 :2012/01/17(火) 00:50:45.22 ID:sU6rLkOy0
本当に良スレだ…
844: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/17(火) 00:52:18.09 ID:WJObiXhX0
ひとしきり小学校で遊ぶと、俺は彼女を連れて小学校の近くの駄菓子屋に行った。
正直、まだあるか不安だったけど、小学生の時はよく入り浸っていた。
彼女「すごい…こういうのって本当にあるんだね。」
俺「ま、田舎だからね…w」
駄菓子屋のおばちゃんには可愛がってもらった。
おばちゃん「はい、いらっしゃい。」
俺「こんにちは、富澤ですー」
おばちゃん「あら、富澤くん…久しぶりだねえ…」
彼女も笑って、
「こんにちは」と言った。
3人でしばらく談笑した。
846: 忍法帖【Lv=23,xxxPT】 :2012/01/17(火) 00:55:01.93 ID:ZmFvwrP20
青春そのものじゃないか
849: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/17(火) 00:58:08.94 ID:WJObiXhX0
おばちゃんは、
「この前〇〇君来てさ…とか、〇〇先生がね…」
と懐かしい話をたくさんしてくるため、俺は楽しかった。
店を出る。
彼女は退屈だったかな、って思うと彼女は買った駄菓子を抱えながら
彼女「すごいね…すごいね。あったかい。こういうの本当にあるんだ。」
とすごく喜んでいた。
彼女「富沢のこともっと知れた気がして嬉しいんだー
これが田舎かーふるさとかー」
彼女は高揚して何度も言っていた。
俺がいつも飲んでいたって教えてあげたチェリオを嬉しそうに飲んでいた。
857: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/17(火) 01:06:29.44 ID:WJObiXhX0
そのあとは、彼女を連れて歩いて、疲れたら休んで、での繰り返しで
そこら一帯、俺にゆかりのある場所をめぐった。
路端の小川を指して、
「中学の時この場所によく自転車をつっこんで走って、
水上自転車大会って言って遊んだんだよ。」とか、
「このお宮にいつも初詣にきたんだ」とか、
「中学の通学路はここで、片想いの子が彼氏と
歩いてるの見てショック受けたんだー」とか。
それは、まったく中身のないしょーもないツアーだった。
でも彼女は、「わーすげー!」「こんな感じ?」
とか一つ一つ本当に生き生きとリアクションをとった。
小学校からさほど遠くない母校の中学校まで来て、彼女は突拍子も無いことを言い出す。
860: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/17(火) 01:11:18.56 ID:WJObiXhX0
彼女「毎日、ここの中学校に通ってたんだね…」
俺「そうなるね。いやーなつかしいww」
彼女は正門からの道を指した。
彼女「で、ここを帰ったと…」
俺「うん、そうだね。」
彼女「わたしたち今から中学生ね、同級生の。ひゃーどうしよう。」
俺「ええー!?」
その日は時間が経つのも早く、時分はそろそろ夕方にさしかかろうと
している頃だった。